心身症の新しい概念と医療システムにとってのその意義
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- 訳 河合 啓介
- 国立国際医療研究センター国府台病院心療内科
抄録
<p>日本心身医学会に属する多くの医師たちは,異なる診療科(内科,婦人科,歯科,麻酔科)での心身症患者をどのように適切に診断し,それぞれの患者に必要なさまざまな治療対応をどのように決定するかについて疑問をもっています.また,個々の診療科がそれぞれのパーソナライズされた心身症診断システムを必要とするのか,または1つの診療科によって設計された共通の心身症診断システムが他のすべての診療科に適用可能かという問題も重要です.後者を考慮すると,精神科が過去5年から10年にわたってその分野で発表された研究の質に基づいて,すべての分野の心身症の定義を提示する唯一の権限をもつということは,何を意味するのでしょうか? 私は,日本における心身症の新しい概念の再定義について議論し,「身体苦痛症/身体症状症」「機能性障害」「心理社会的原因をもつ身体疾患」「うつ病」または「不安」などの診断から生じる複雑さに注意を喚起します.これらは心理社会的要因によって身体疾患の経過を悪化させます.心身医学の観点から,これらの障害を精神的な心の機能不全,神経学的な脳の機能不全,または複雑な心-脳-体の相互作用として記述することができます.これは,過敏性腸症候群(IBS)で示されているように,内科の視点を含んでいます.私は,これらの障害を理解し治療するために,精神医学,神経学,社会学,内科が主流であるという観点を否定します.国際的な学術責任者(ICD-11,DSM-5),患者,社会,そして国の医療システムは,心身症の重要な問題について決定を下さなければなりません.</p>
収録刊行物
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- 心身医学
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心身医学 64 (3), 216-224, 2024
一般社団法人 日本心身医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390862943886270464
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- ISSN
- 21895996
- 03850307
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可