メチルシクロヘキサン合成のためのトルエン直接電解水素化における電解槽技術

  • 長澤 兼作
    (国研)産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター
  • 光島 重徳
    横浜国立大学大学院工学研究院

書誌事項

タイトル別名
  • Electrolyzer Technologies in Toluene Direct Electro-hydrogenation for Methylcyclohexane Synthesis

抄録

<p>本総説では,固体高分子電解質(SPE)膜を利用し,トルエンと水からメチルシクロヘキサンを直接合成する一段階電気化学プロセスであるトルエン直接電解水素化用電解槽の開発概要を紹介する。トルエン直接水素化電解槽の性能を向上させるためには,セル電圧の低減と電流効率の改善が重要である。これらの特性を向上させるため,電解槽の流路構造,拡散層への化学触媒担持,アノードメッシュサイズ,集電体構造,カソード触媒量に対して最適化を行った。流路構造の検討では,多孔質カーボン流路が最も高い性能を示し,電流効率の向上が顕著であった。トルエン直接電解水素化において電流効率の低下は,カソードでの水素ガス発生に起因する。カソード側の多孔質カーボン流路にPt触媒を担持し,触媒層で発生した水素ガスに対して化学触媒作用によりトルエンを水素化することで,セル全体の電流効率を大幅に向上させた。アノードのメッシュサイズを小さくし,アノード集電体を熱プレス処理することで,面圧の均一性や膜の平滑性が改善され,カソード触媒利用率が向上し,セル電圧が低下した。各種SPE膜のトルエン透過特性を測定し,触媒層の厚さと電解性能の関係を明らかにした。開発した技術の結果,0.4 A cm−2の電流密度でセル電圧は改善前の2.10 Vから1.72 Vまで向上し,連続単流運転で90 %以上のトルエン転化率を達成した。</p>

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