Beyond コロイド・界面化学×高分子

DOI
  • 林 智広
    東京工業大学 物質理工学院 材料系
  • 遊佐 真一
    兵庫県立大学大学院 工学研究科応用化学専攻
  • 湊 遥香
    岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域
  • 鈴木 大介
    岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域
  • 出口 茂
    海洋研究開発機構(JAMSTEC)生命理工学センター

抄録

<p>コロイド・界面化学と高分子科学は親和性が高く、歴史的にも古くから融合領域として発展してきました。高分子ならではのユニークな自己組織化挙動や界面物性に関する知見は学術研究に留まらず、今日では実用的な機能性材料が数多く生み出されるまでに至っています。C&I Commun 49-2号の特集では、Beyond コロイド・界面化学×高分子をテーマに、高分子科学の分野においても注目される4名のコロイド・界面化学の研究者に執筆をお願いしました。生体適合性、機械学習、深海、マテリアルリサイクルといった新しい時代のサイエンス・ものづくりに直結する多岐にわたるトピックをご紹介します。本特集を通じて、コロイド・界面化学と高分子化学の融合から生まれる革新的な研究と、それが未来の技術にどのように影響を与えるかを感じて頂ければ幸いです。</p><p>〔担当:安原主馬(主担当)、キャシーマクナミー、竹崎誠、並河英紀(五十音順)〕</p><p> </p><p>〔1〕機械学習を用いたタンパク質分子の表面構造の統計解析による分類・機能予測</p><p> 東京工業大学 物質理工学院 材料系 林 智広</p><p> </p><p>〔2〕カチオン性のジブロック共重合体とアニオン性のコンドロイチン硫酸によるポリイオンコンプレックス(PIC)ミセルの作製</p><p> 兵庫県立大学大学院 工学研究科応用化学専攻 遊佐 真一</p><p>制御ラジカル重合で合成したホスホベタインポリマーとカチオン性ポリマーから成るジブロック共重合体と、天然のアニオン性高分子のコンドロイチン硫酸の電荷を打ち消すようにリン酸バッファ中で混合すると、ポリイオンコンプレックス(PIC)ミセルを形成した。このPICミセルは最表面が、生体適合性のホスホベタインポリマーのシェルで覆われているため、薬物の担体などへの利用が期待される。</p><p> </p><p>〔3〕微粒子を鍵とした高分子材料のリサイクル手法</p><p> 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域 助教(特任) 湊 遥香</p><p> 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域 教授 鈴木 大介</p><p>塗料や接着剤、紙加工に加え、スマートフォン、パソコン、車載製品など、至る所で使用される高分子(微粒子)材料は私たちの生活を豊かにする一方、環境汚染や資源枯渇などの社会問題として近年取り上げられている。そのため、高品質な製品をより長く使うだけでなく、リサイクルし、効率的な再利用が求められている。そのような中、本稿では、高分子微粒子を活用した高分子材料のマテリアルリサイクル手法について紹介する。</p><p> </p><p>〔4〕深海×コロイド・界面化学×高分子化学</p><p> 海洋研究開発機構(JAMSTEC)生命理工学センター 出口 茂</p><p>自然は常に科学の進歩を促す発想の源泉であり、深海とて例外ではない。本稿では深海の厳しい環境や深海生物に固有の生存戦略に発想を得た「深海インスパイアード化学」を概説する。圧力に応答する高分子を利用したサステナブル材料開発とナノファイバーの大表面積を活用した深海微生物資源の開拓を例として、深海から得た発想にコロイド・界面化学や高分子化学の創意工夫を加えて実現する新世代の海洋利用の姿を紹介する。</p>

収録刊行物

  • Colloid & Interface Communications

    Colloid & Interface Communications 49 (2), 3-15, 2024-05-10

    公益社団法人 日本化学会 コロイドおよび界面化学部会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390863041926279040
  • DOI
    10.57534/cicommun.49.2_3
  • ISSN
    27585379
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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