特発性前骨間神経麻痺の1症例

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  • ―エコー所見を含めた自然経過―

抄録

<p>【はじめに】特発性前骨間神経麻痺の病因,自然経過などは未だに不明な点が多く,「神経束のくびれ」は麻痺の原因の1つと考えられている.今回,神経束のくびれを伴う特発性前骨間神経麻痺1症例の超音波画像検査(以下エコー)所見を含めた自然経過を報告する.【症例】51歳,女性.数日前に缶の蓋を開けるときに左手に力が入らないことに気づいたために受診した.しびれや知覚鈍麻は認めなかった.左母指IP関節屈曲は可能(MMT4)だが,左示指DIP関節屈曲が不能(MMT0)であった.エコー所見では,肘屈曲皮線の近位2cmに正中神経の神経束にくびれを認めた.母指屈曲が可能であることから保存療法を希望されたため,臨床症状及びエコーによる経時的観察をおこなった.発症後11ヶ月で麻痺の回復兆候を認め,34ヶ月では左示指DIP関節屈曲はMMT5まで回復した.エコー所見では,くびれ率は発症後1ヶ月:0.73,発症後34ヶ月:0.53と改善,中枢の神経束腫大部の太さも発症後1ヶ月:2.2mm,発症後34ヶ月:1.8mmと改善したがまだ残存していた.【結語】麻痺の回復とくびれの改善には関連があると思われるが,麻痺が完全回復したにもかかわらず神経束のくびれや腫大は残存しており,時間的なラグが存在すると思われた.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390863097403045760
  • DOI
    10.5035/nishiseisai.73.112
  • ISSN
    13494333
    00371033
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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