栽植密度が加工・業務用ホウレンソウ群落の乾物生産に及ぼす影響

  • 鎌田 えりか
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター 九州大学大学院生物資源環境科学府
  • 石井 孝典
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター
  • 尾崎 行生
    九州大学大学院農学研究院

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Planting Density on Dry Matter Production of Spinach for Processing
  • サイショクミツド ガ カコウ ・ ギョウムヨウ ホウレンソウ グンラク ノ カンブツ セイサン ニ オヨボス エイキョウ

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説明

<p>青果用より疎植での栽培が推奨される加工・業務用ホウレンソウの栽培において栽植密度が乾物生産に及ぼす影響を検討した.条間30,35または40 cm,株間5または10 cmで栽培したホウレンソウ群落について,日射遮蔽率(fi-SR),日射遮蔽量(DIR)および日射利用効率(RUE)に基づいて乾物生産を解析した.その結果,fi-SRとLAIの関係を表す吸光係数は栽植密度による差はなく,DIRはLAIによって決まると考えられた.栽植密度がRUEに及ぼす影響は年次によって異なり,2021年度は栽植密度による有意な差はみられなかったが,作期が遅く気温の急な低下がみられた2022年度は株間10 cm区のRUEが株間5 cm区より有意に高かった.生育過程では株間5 cm区の単位面積当たりの乾物重は株間10 cm区より有意に高い値で推移したが,加工・業務用としての収穫期には栽植密度の違いによる有意差は認められなかった.この原因として,生育初期は密植によるLAIの増加に起因するDIRの差によって株間5 cmの区で乾物生産量が多かったが,fi-SR飽和後には乾物増加量はRUEに依存することになり,積算DIRの増加に起因する増収効果が漸減したためと考えられた.今回試験した範囲では栽植密度によらず同等の乾物生産量となり,株間10 cm程度の疎植にすることで,株間5 cm程度の密植と同等の収量を維持したまま加工・業務用に適した形質のホウレンソウが得られると考えられた.</p>

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 23 (2), 119-128, 2024

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (14)*注記

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