食品成分比変調機能を有する双方向物質移動デバイスの開発
書誌事項
- タイトル別名
-
- Development of a bidirectional mass transfer device with food component ratio modulation function
説明
<p>【背景】食品成分は多種多様であり、ある特定の生理活性物質の機能を亢進する分子と抑制する分子-未知分子を含む!-が共存する複雑系を包括してその生理活性が発揮されるので、成分比がカギとなる。生理活性発現の最適化には、成分比を自在に変える技術を要するが、現状存在せず、我々は、双方向物質移動デバイスを開発した。本デバイスは、フィルターにおける上下の流路に異なる成分比の溶液を送液すると、拡散速度定数と流速との兼ね合いにより、低分子量の物質が上下の流路を双方向に移動する。送液時間を変えることで、両側の成分組成を段階的に変動させることができる。今回は、デバイスの性能を報告する。</p><p>【方法・結果】透析膜を挟んで両側に流路を形成し、片方(サイドA)にKCl溶液を0.5-1.5mMで流し続け、他方(サイドB)に水を循環させる。サイドBに透過してくるイオンを測定したところ、KClの濃度依存的にイオンが増加して、約1hで透析平衡に達した。また、サイドAにKCl溶液を1.5mMで流し続け、サイドBの循環水へのイオン移行を測るアッセイを三回行ったところ、イオン濃度増加曲線はほぼ一致し、拡散の再現性が確認された。さらに、サイドAに同濃度のKCl、各種有機酸、アミノ酸、グルコースを流し、サイドBの循環水への各物質の移行を調べたところ、最も良好であったKClと有機酸類に対し、アミノ酸は約20%、グルコースは約40%低値であった。以上より、本デバイスは、片サイドに流した溶液の成分比を、他サイドの循環水に対して透析することにより、再現良く変化させる性能を有することが示された。</p><p>【考察】本デバイスの両サイドに成分比の異なる溶液を循環させることにより、ある成分が高濃度側から低濃度側へ移行して両サイドの濃度が変化し、その際、無機イオンや有機酸が、アミノ酸や糖に比べてより濃度変化しやすいと考えられる。流速や透析膜形状改変により、さらなる成分比変化が起こせると見込まれる。</p>
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 51.1 (0), O-4-, 2024
日本毒性学会