Seafloor geomorphology off northern coast of Noto Peninsula

Bibliographic Information

Other Title
  • 能登半島北岸沖の海底地形
  • Investigation of tectonic geomorphology based on multibeam echo-sounder and SCUBA diving surveys
  • マルチビーム測深と潜水調査による変動地形調査

Description

<p>1.はじめに</p><p> 2024年1月1日、能登半島北岸を震源としたマグニチュード7.6の令和6年能登半島地震が発生し、半島北西部の海岸で最大約4mの隆起が生じた。能登半島北岸では4つのセグメントに分かれて存在する総延長150kmに及ぶ長大な海底活断層が存在するが1)、今回の地震は全セグメントが連動して活動したことによって励起されたと考えられている2)。地震発生後、海底活断層の調査が東京大学大気海洋研究所3)や産総研地質調査総合センター4)によって実施された。しかし、大型船舶を用いた調査であったため、沿岸に近い浅海域の調査には至っていない。本研究グループは、九州大学浅海底フロンティア研究センターが得意とする浅海域の地形調査技術を用いて、能登半島北岸の沿岸域の海底地形調査を実施した。</p><p></p><p>2.沿岸浅海域のマルチビーム測深と潜水調査</p><p> 能登半島北岸における海底地形測量は、マルチビーム測深機R2Sonic2022、慣性 GPS ジャイロApplanix POS/MV OceanMasterを凪紗丸8.5トンに艤装して、2024年4月27日~5月5日の9日間に実施した。測深海域は西から1)輪島市光浦町沖(約10.9㎢)、2)輪島港周辺海域(約7.3㎢)、3)輪島市名舟町沖(約16.3㎢)、4)珠洲市片岩町沖(約6.3㎢)である。測深時の総航行距離は604.4 km、総測深面積は約42㎢、測深海域の最大水深は97mであった。</p><p> 震災後、輪島港の検潮所は被災したため、調査期間中、港内で水位ロガーHOBO U20L-04を用いて潮高の計測を行った。潮位計測のため岸壁に設けた基準点については、RTK測量器ProMark 120, L1/L2 GPS/GLONASSを使って測量し、潮位補正に使用した。測深データの収録・後処理には、統合型水路測量ソフトウェア HYPACK を用い、グリッドサイズ 0.5mおよび1 mの数値標高モデル(DEM)を作成した。</p><p> SCUBA潜水は6月下旬に実施し、地形等の観察、ハンマーとタガネを用いた岩石採取、湧出気体の採取を行った。</p><p></p><p>3.輪島港周辺の海底地形</p><p> 地元漁業者への情報提供として、まず、測深海域のうち輪島港周辺の7.3㎢の海底地形図を先に完成させ、2024年7月1日に一般公開した5)。輪島港では海底の隆起によって港湾内の水深が浅くなり、浚渫作業が行われている。地元漁業関係者の間では、港湾内だけでなく港湾周辺に航行の妨げになる障害物は存在しないか、海底が極端に隆起して危険な場所はないか懸念する声があった。今回の測深によって5月上旬時点で、輪島港周辺の海底に大きな障害物はないこと、図化した海域はすべて漁船の航行に支障ない水深があることが分かった。</p><p> 輪島港沖海域の海底は、海岸から約2.5kmは泥岩を主とする堆積岩によって構成される。この海域では海底から気体が湧出するゾーンが少なくとも3列、東西方向に延びるように存在することを確認した。また海底において、きわめて最近発生したとみられる東西に連なる岩盤の破砕帯があることを発見した。発表時には、輪島港沖以外の測深海域でみられる海底地形の特徴についても言及する。</p><p></p><p>謝辞:本研究は科研費JP21H04379(代表者:菅 浩伸)、九州大学総長裁量経費(代表者 ハザリカ・へマンタ教授)および株式会社ワールドスキャンプロジェクト(WSP)の資金援助を受けて実施した。WSPの上瀧良平社長および市川泰雅技術顧問に感謝申し上げます。また、調査にご協力いただいた輪島市漁業協同組合、凪紗丸船長の岩坂紀明様、まる丸船長の塩谷雅孝様、わじま海藻ラボの石川竜子様はじめ、輪島市民の方々に感謝いたします。</p><p></p><p>1) 井上卓彦, 岡村行信 (2010) 数値地質図S-1, 地質調査総合センター 2)宍倉正展 (2024) 科学, 94(7), 608-614. 3) 東京大学大気海洋研究所(2024)https://www.aori.utokyo.ac.jp/research/news/2024/20240301.html 4) 岡村行信ほか (2024) https://www.gsj.jp/hazards/earthquake/noto2024/noto2024-10.html</p><p>5) https://isgs.kyushu-u.ac.jp/~seafloor/noto/</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390864634468381440
  • DOI
    10.14866/ajg.2024a.0_90
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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