ロボット支援手術時の脳ガス塞栓の経験と炭酸ガス塞栓に対する対策

DOI
  • 猪口 淳一
    九州大学大学院医学研究院 泌尿器科学分野 琉球大学大学院医学研究科 腎泌尿器外科学講座
  • 松元 崇
    九州大学大学院医学研究院 泌尿器科学分野
  • 高山 梓
    福岡赤十字病院 泌尿器科 佐賀県医療センター好生館 泌尿器科
  • 清島 圭二郎
    福岡赤十字病院 泌尿器科
  • 塩田 真己
    九州大学大学院医学研究院 泌尿器科学分野
  • 江藤 正俊
    九州大学大学院医学研究院 泌尿器科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A case of cerebral gas embolization during robot-assisted surgery : how to avoid gas embolization

説明

<p> 腹腔鏡手術あるいはロボット支援手術では, 一般的に炭酸ガスを用いた気腹を行い手術が行われるが, 合併症として炭酸ガス塞栓に注意が必要である. 肺炭酸ガス塞栓をきたしても症候性となるものは稀である一方, 症候性となったものは高い致死率を示すとする報告もある. 術中に呼気終末二酸化炭素分圧 (EtCO2) の急激な低下, 経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2) の低下がみられた場合は肺炭酸ガス塞栓を疑う. その場合, 速やかに気腹の中断あるいは減圧を行い, 純酸素を投与し, 同時にガス流入部である血管損傷部を閉鎖することが重要である. 今回, 我々は肺ガス塞栓に続き脳内にガス塞栓をきたした脳ガス塞栓の症例を経験した. 腎の腹腔鏡あるいはロボット支援手術において脳ガス塞栓をきたした症例の報告は我々の知る限りこれまで6例のみであり, うち2例は死亡に至っている. 脳ガス塞栓に対して高圧酸素療法が有効との報告もあるが, 発症すると重篤であるため, まずガス塞栓を発生させないことが重要である. そのため, 気腹圧を上げすぎないこと, 症例によっては腎静脈クランプを併用すること, 脈管はできるだけクリップ等により処理し開放した場合は速やかに縫合を行うことなどが重要と考えられた.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390865409033268736
  • DOI
    10.11302/jserjje.37.2_290
  • ISSN
    2436875X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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