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- 森 信之介
- 慶應義塾大学理工学部
書誌事項
- タイトル別名
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- L-Tryptophan in the pollen of the Welsh onion (<i>Allium fistulosum</i> L.) as an attractant for the fiery-tailed bumblebee (<i>Bombus ignitus</i> Smith)
- [L]-Tryptophan in the pollen of the Welsh onion (Allium fistulosum L.) as an attractant for the fiery-tailed bumblebee (Bombus ignitus Smith)
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説明
<p>被子植物は,花粉と花蜜といった報酬に加え,視覚,嗅覚,触覚などによる複合的な刺激によって送粉者を誘う.葯や花粉が示す刺激のひとつとして,紫外線下で青色蛍光を示し,ミツバチを視覚的に誘引することが示唆されている.本研究では,ハチ媒植物であり青色蛍光を示すネギ(Allium fistulosum L.)の葯と花粉から主要な蛍光物質を単離し,ハチの必須アミノ酸のひとつである L- トリプトファンと同定した.L- トリプトファンは励起極大波長を 305 nm に,蛍光極大波長を 350 nm を示す.ヒトはこの蛍光の 400 nm を超えた部分のみを感受するので青色と認識するが,可視域に紫外線を含むハチにとっては紫外線領域の蛍光として感受されていると推察される.行動実験においてクロマルハナバチ(Bombus ignitus Smith)は,L- トリプトファンを添加したスクロース水溶液と無添加水溶液の内,前者に有意な選好性を示した.花粉に含まれる L- トリプトファンはハチにとっては単なる栄養ではなく視覚刺激としての一面をもつのではないかと考えられる.</p>
収録刊行物
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- 日本花粉学会会誌
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日本花粉学会会誌 69 (2), 69241-69247, 2024-03-25
日本花粉学会