日本における「人身取引」問題の中心と周縁 : 国際的議論と市民活動の語りから

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  • Center and Marginal of “Trafficking in Person” in Japan : Analyzing International Discussions and Narratives of Civil Society

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[要旨] 「人身取引」は、搾取の目的で暴力や詐欺などの手段を用いて人を獲得、輸送、収受し、売春や労働などを強要する犯罪であり重大な人権侵害であるとして、複数の国際規範や各国の外交政策が複合的に重なり合う地点においてアプローチが模索されてきた。しかし近年、正規の移住労働、強制的な移住や「人の密輸」との境界線が一層曖昧になるなか、移住を媒介する行為者や組織、雇用・労働形態、情報の流通経路の多様化が促進され、送出国における最も脆弱な層にみられてきた女性や子どもの性的搾取目的での人身取引はむしろ捉えにくくなっている。「人身取引」問題をめぐる国際的議論や市民活動の語りの中心と周縁は絶えず変化し得る。今後の市民活動においては、パレルモ議定書の国際定義をもとに「人身取引」を一括りに論じるのではなく、ローカルな文脈において異なる支援ニーズをもつ一人ひとりの背景に応じた「人身取引」の解釈を鍛えていく必要があるだろう。

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