我が国における非アルコール性脂肪肝炎(MASH) 肝硬変による肝移植症例の検討
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説明
<p>【目的】近年の抗ウイルス治療の進歩によりウイルス性肝炎を原因とする肝移植は減少傾向となる一方、MASH肝硬変を原因とする肝移植は増加傾向にある。今回、日本肝移植学会のプロジェクト研究としてMASH肝硬変における肝移植症例を検討した。</p><p>【方法】MASH肝硬変に対して肝移植を行った272例を検討対象とした。観察期間の中央値は4.2年、MASH症例の経過、生命予後を検討した。また移植後の脂肪肝の有無を評価できた213例では脂肪肝、MASH再発の有無を検討した。</p><p>【成績】MASH肝移植例の1年生存率は91.2%、3年生存率は87.6%、5年生存率は82.2%、10年生存率は72%であった。Cox比例ハザードモデルでは2型糖尿病とMELDスコア17以上が生存に寄与する因子であった。脂肪肝の再発は213例中81例 (38%)に認め、脂肪肝再発までの期間の中央値は2.1年であった。Cox比例ハザードモデルにて脂肪肝の再発に寄与する因子は移植後の体重の増加であった(P=0.010)。肝移植後脂肪肝再発例は非再発例と比較して予後良好であった(p=0.03)。脂肪肝症例81例中53例では肝生検が行われ、そのうちMASHは23例(37%)に認めた。</p><p>【結論】MASH由来肝硬変の移植症例は肝移植後の予後は比較的良好であった。また移植後脂肪肝の再発例(非MASH)では移植後の予後が良好であった。一方で肝移植後にMASHの再発を認める症例があり、注意を要すると考えられた。</p>
収録刊行物
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- 移植
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移植 59 (Supplement), s318_2-s318_2, 2024
一般社団法人 日本移植学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390866647405192704
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- ISSN
- 21880034
- 05787947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可