当科における常染色体優性多発性嚢胞腎に対する腎移植の検討

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<p>[緒言]常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)を有する腎移植レシピエントは、巨大な固有腎のため移植床の確保に支障をきたす場合がある。また免疫抑制下では残存する肝臓や腎臓の嚢胞感染のリスクを伴う。当科では移植床作成の妨げになる場合、固有腎嚢胞感染の既往がある場合は、腎移植と同時に固有腎摘出を行っている。腎摘出の有無により、腎移植後の成績に違いがあるかについて後方視的に検討した[対象と方法]2000年以降にADPKDを有する腎移植36例中、腎移植前に腎摘出に至った5例を除く31例を対象として、腎移植と同時に自己腎摘を行った14例(Nx+群)と、行わなかった17例(Nx-群)を比較した。生存率、生着率、嚢胞関連感染症の発生率、拒絶反応及びウイルス・真菌感染症発生率、悪性腫瘍発生率を検討した。[結果]移植時年齢、性別、透析期間、ドナー腎(生体/献腎)、観察期間に2群間に差を認めなかった。手術はNx+群で有意に手術時間が長く、出血量が多かった。10年の患者生存率と腎生着率はNx+群で共に91%であったが、Nx-群では、70%、72%と低かった(統計学的差なし)。また10年間の累積嚢胞関連感染症は、Nx+の0%に対して、Nx-群では36%であった。拒絶反応、ウイルス・真菌感染症発生率、悪性腫瘍発生率は同等であった。[結語]ADPKDに対する腎移植は、腎移植時に固有腎摘出した症例で生存率、生着率が良好で、移植後の嚢胞関連感染率が低かった。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 59 (Supplement), s325_3-s325_3, 2024

    一般社団法人 日本移植学会

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