『カースティーン』における女性の連帯 : 擬ロマンス小説から彼女自身の物語へ

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  • Women’s Solidary Relationships in Kirsteen:From Quasi-Romantic Plot to Her Own Story

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この小論では、マーガレット・オリファントの後期作品『カースティーン』(1890)を取り上げ、それ以前の作品のヒロインたちと比較しながら、女性の生き方へのオリファントのアプローチの変容について考察する。『カースティーン』以前の小説のヒロインたちも、それぞれに社会の中で活躍できる道を模索する強い女性たちだった。しかし、彼女たちは最終的にその方便として結婚を選択し、夫を表に立たせるという家父長制の枠組みの中で自己実現を追求していた。一方、カースティーンは家父長が支配する家庭から脱却し、ロンドンでビジネスを成功させる。物語は冒頭ロマンス小説を思わせるが、次第に別の物語へと変貌していく。この作品はヒロインの異性関係を排除し、独立した女性同士の連帯を語る物語となっている。この分析を通して、オリファントが『カースティーン』において、家父長制の枠組みを超えて、女性の自立と連帯を物語化するに至ったことを明らかにしたい。

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