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- 小田 宏信
- 成蹊大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Trajectory of Industrialization and Industrial Restructuring in the Tohoku Region
- トウホク チホウ ニ オケル コウギョウカ ト コウギョウ サイヘン ノ キセキ
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説明
<p> 東北地方は,電気・電子機器工業を中心とする加工組立型工業,また,衣服縫製業の工場を数多く受け入れて,農村地域の余剰労働力を吸引しつつ,これらの産業の分業構造を支える重要な場となった.しかしながら,1993年前後から2000年代の初頭にかけて大きな転機を迎え,著しい規模での雇用削減を経験し,分工場経済の破綻を目の当たりにすることになった.ただしその後の過程に着目すると,一方向的に工業衰退が進んでいるわけもなく,新しい成長を伴った再編の道筋でもあった.これらの分析を通じて,(1) 一部の地域で一定の「集積の厚み」が地域経済の安定性をもたらしてきたが,こうした地域で醸成された起業家的風土を次世代にいかに繋げていくべきかという点,(2) もはや国内における企業内地域分業という枠組みでは捉えらない状況であるが,グローバル生産ネットワークのごく一部を担う工場に地域経済を委ねるリスクは引き続き大きいと言わざるを得ない点,(3) 企業に選ばれる地域とそうではない地域のコントラストが従来以上に顕在化している点,(4) 地域資源を活用し,資金や諸資源の地域循環をもたらしていくようなビジネスの導入が地域経済の持続的な発展に資するという点,以上4 点を論点として提示した.</p>
収録刊行物
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- 経済地理学年報
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経済地理学年報 70 (4), 368-387, 2024-12-30
経済地理学会