栃木県における脊髄性筋萎縮症拡大新生児スクリーニングの公的事業化と抗AAV9抗体陰性化後にonasemnogene abeparvovecを静注した1例
書誌事項
- タイトル別名
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- Public implementation of expanded newborn screening for spinal muscular atrophy in Tochigi prefecture and a patient treated with onasemnogene abeparvovec after the negative conversion of anti-AAV9 antibody
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説明
<p> 【目的】脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy;SMA)の治療薬承認により,早期診断治療の重要性が認識され,拡大新生児スクリーニング(newborn screening;NBS)が一部地域で始められている.栃木県でも2022年4月から1年間,免疫不全症とともに拡大NBSを研究として実施した.NBS陽性例の経過とともに報告する.【方法】SMAの原因遺伝子であるSMN1遺伝子と,免疫不全症のマーカーであるTRECとKRECを同時に検出できる試薬を使用し,リアルタイムPCR法を行った.【結果】検査実施は10,738人であった.要精検はSMA 1人,免疫不全4人で,確定診断はSMA 1人,二次性免疫不全1人,正常3人であった.SMA例は生後16日にSMN1コピー数0,SMN2のコピー数3,抗AAV9抗体価>200倍であることが判明した.治療前の筋緊張・筋力は正常であった.CHOP INTENDは30点で,正中神経の末梢神経伝導検査はCMAP 1.2mVと低下していた.抗AAV9抗体陽性のためnusinersenを生後23日から計5回髄注した.生後8か月時に抗AAV9抗体価は陰性化し,onasemnogene abeparvovecを静注した.その後1歳4か月で独歩を獲得した.【結論】NBS陽性例も早期治療によりほぼ定型発達を認めており,NBSは有用であることが示された.今回の早期診断治療例の報告を含めた症例の蓄積が拡大NBSの公的事業化への一歩となることを期待する.</p>
収録刊行物
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- 脳と発達
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脳と発達 57 (2), 138-143, 2025
一般社団法人 日本小児神経学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390866882739361152
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- ISSN
- 18847668
- 00290831
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可