How to mourn “the Uncrowned King of Ireland” : From James Joyce’s A Portrait of the Artist as a Young Man to W.B. Yeats’s “Parnell’s Funeral"

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  • 「アイルランドの無冠の王」を追悼する : ジェイムズ・ジョイス『若き日の芸術家の肖像』から、W・B・イェイツ「パーネルの葬儀」へ

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本稿では、ジェイムズ・ジョイスとW・B・イェイツが、それぞれ『若き日の芸術家の肖像』(1916 年)と「パーネルの葬儀」(1934 年)において、19 世紀後半のアイルランドにおける自治運動の指導者、チャールズ・スチュワート・パーネルの死をどのように描いているかを比較検討した。イェイツからジョイスへの影響関係を論じた先行研究は数多くあるが、本論文ではあえて、その逆の方向を取った。特に本論後半で着目した「パーネルの葬儀」については、その創作年代を確定することは難しいが、少なくともThe King of the Great Clock Tower (1934)の序文で「二年間詩が全く書けなかった」と語っているように、この詩の創作はイェイツが再び創造性を取り戻す契機であったことは確かであろう。イェイツがこの詩の自註でジョイスの『肖像』に言及していることの意義は、「アイルランドの無冠の王」と呼ばれたパーネルの追悼を通じて、いかにその英雄的精神を自身の芸術に取り込んでゆくかという点にある、と結論付けた。

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