否定とも肯定とも共起する副詞「とても」について : 否定用法に見られる「条件づけ」を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • On the Japanese adverb "totemo" : Focusing on the structural properties of its negative usage
  • ヒテイ トモ コウテイ トモ キョウキ スル フクシ トテモ ニ ツイテ ヒテイ ヨウホウ ニ ミラレル ジョウケン ヅケ ヲ チュウシン ニ
  • ヒテイ トモ コウテイ トモ キョウキスル フクシ トテモ ニ ツイテ ヒテイ ヨウホウ ニ ミラレル ジョウケンズケ オ チュウシン ニ

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説明

本稿では、述語の極性によって異なる意味・機能を持つ副詞「とても」を対象に、それぞれの用法に見られる構文的特徴について分析を行った。「とても」の否定用法は、不可能を表す文で用いられ、不可能となる理由や状況が提示されるという特徴が見られることを指摘し、それを「条件づけ」と名づけ、その現れ方について記述した。肯定用法の「とても」には、「条件づけ」が必ずしも伴われるわけではなく、述語の直前に位置するという特徴が見られる。否定用法の「とても」の場合には、構文的位置は、述語の直前でなくてもよい。また、「とても」は、不可能や困難を表す語彙的否定形式と共起し否定用法として用いられることがあり、その場合、「条件づけ」の有無と「とても」の構文的位置によって、区別が可能であることを指摘した。さらに、現代日本語に見られる「とても」の肯定用法が発生したとされる明治期からの史的考察も行い、肯定用法が発生する前に見られる、文法的否定形式あるいは語彙的否定形式との共起による否定用法は、「条件づけ」を伴っていることを指摘した。

収録刊行物

  • 阪大日本語研究

    阪大日本語研究 22 43-63, 2010-02

    大阪大学大学院文学研究科日本語学講座

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