若手アスレティックトレーナー・鍼灸師の現状と問題点
書誌事項
- タイトル別名
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- Current Status and Issues of Young Athletic Trainers and Acupuncturists
- 臨床・研究の狭間で
- Between Clinical Practice and Research
説明
<p>本邦における若手の鍼灸師やアスレティックトレーナー (以下AT) たちが、 順風満帆に現場活動や臨床活動、 さらに研究を行っているとは言い難い面がある。 本シンポジウムでは、 現状や抱えている問題を報告してもらい、 改善策等を議論することを目的とした。 川口先生は、 大学アメリカンフットボール部でのトレーニング負荷管理にAcute : Chronic Workload Ratioを導入し、 選手の負荷がSweet spot内で推移するよう調整することで怪我予防の可能性が高まると述べた。 しかし、 選手からのデータ提供が不十分なため、 データ収集や継続的な管理の難しさも課題として挙げている。 村越先生は、 新潟医療福祉大学のスポーツ鍼灸サポート事業を紹介し、 学生アスリートのための鍼灸治療の体制づくりを行っている。 一方で、 指導者側での理解不足が普及の障壁となっていることを指摘した。 斉藤先生は、 ホッケー日本代表でのコンディションモニタリングの実例を通じて、 睡眠データや疲労度の自己申告情報の分析が選手の健康管理に有用であると述べ、 特にデータ収集だけでなく、 選手とのコミュニケーションを重視する姿勢が大切であると強調した。 細井先生は、 スポーツ現場での経験から、 エビデンスの不足や鍼灸師の待遇改善の必要性を訴え、 日本と海外における待遇の格差に触れながら、 スポーツ現場における鍼灸師の地位向上の重要性を示した。 また、 サッカー日本代表SAMURAI BLUEを中心とした多くのスポーツ現場での活動を紹介すると共に、 鍼灸師とATの需要の高さを示した。 玉井先生は、 唾液中バイオマーカーを用いた疲労評価の研究に取り組み、 既存の疲労評価法が限界を持つ中、 ウイルス核酸といった新しい指標の有効性を検証することの可能性を示唆した。 5名の報告を通して、 スポーツ現場でのトレーニング負荷管理や鍼灸ケアの重要性が強調され、 エビデンスの構築、 科学的な疲労評価法の導入、 そして地位や待遇改善を含む制度改革の必要性が示された。 </p>
収録刊行物
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- 全日本鍼灸学会雑誌
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全日本鍼灸学会雑誌 75 (1), 21-34, 2025-02-01
公益社団法人 全日本鍼灸学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390866979074940160
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- ISSN
- 1882661X
- 02859955
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可