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- タイトル別名
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- [Article] Locations of Origin of the Domestic Raw Materials for Leaded Copper and When They Started to Be Used as Seen from Bronze Bowls Excavated in Chugoku and Shikoku Regions
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説明
本稿では中国四国地方で出土した6~7世紀の銅鋺の考古学的知見とともに鉛同位体比,金属成分比の分析結果を報告し,あわせてその分析結果から派生する問題として国産銅鉛原材料の産出地と使用開始時期について言及した。 すなわち,理化学的分析によってTK209 型式期の須恵器が共伴する無台丸底の銅鋺(津山市殿田1号墳,黒本谷古墳)に朝鮮半島産原材料,TK217 型式期の須恵器が共伴する無台平底の銅鋺(津山市荒神西古墳,竹原市横大道8号墳)に国産原材料の使用が推定され,形態的特徴と原材料との相関性とともに,国産原材料の使用開始時期が7世紀中葉に遡る可能性を示し,特に荒神西銅鋺,横大道銅鋺の鉛同位体比が古和同を含む和同開珎と近似する数値を示しており,近い値を示す長登,香春岳やその周辺の銅鉱山の開発が7世紀中葉に遡る可能性を論じた。 さらに亀田修一による渡来人の関与による7世紀中葉以前に遡る国内銅生産を指摘する見解や馬淵久夫によるTK43型式期での出雲市後野産原材料使用を指摘する鉛同位体比分析結果などを踏まえると,国産原材料の使用開始時期が6世紀後葉に遡る可能性すらあることを示した。また銅鉛原材料産出地についても従来考えられてきた長登銅山周辺だけでなく香春岳や出雲市後野など,北部九州から中国山地東部にまで目を向けて探る必要性も説いた。いずれ本稿を端緒にした研究の深化を期待するものである。
収録刊行物
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- 国立歴史民俗博物館研究報告
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国立歴史民俗博物館研究報告 213 31-41, 2019-01-18
国立歴史民俗博物館
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390867654669515648
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- NII書誌ID
- AN00377607
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- ISSN
- 02867400
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可