バルサルバ法により聴力改善を認めた外傷性耳小骨連鎖離断の1例

  • 本田 圭司
    東京医科歯科大学医学部 耳鼻咽喉科 総合病院土浦協同病院 耳鼻咽喉科
  • 川島 慶之
    東京医科歯科大学医学部 耳鼻咽喉科
  • 伊藤 卓
    東京医科歯科大学医学部 耳鼻咽喉科
  • 藤川 太郎
    東京医科歯科大学医学部 耳鼻咽喉科
  • 竹田 貴策
    東京医科歯科大学医学部 耳鼻咽喉科
  • 渡邊 浩基
    東京医科歯科大学医学部 耳鼻咽喉科
  • 堤 剛
    東京医科歯科大学医学部 耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • Traumatic ossicular disruption with hearing loss improved by Valsalva maneuver

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説明

<p>症例は32歳女性.耳かき中に子供と接触し受傷.左鼓膜の後上象限に穿孔を認め,穿孔よりキヌタ・アブミ関節が観察された.純音聴力検査にて3分法平均聴力レベル38.3 dBの左伝音難聴を認めた.穿孔は自然閉鎖し聴力は一時改善したがその後再増悪した.経過中にバルサルバ法で聴力が改善すると訴えており,実際にバルサルバ法前後で35.0 dBから23.3 dBに改善を認めた.経外耳道的内視鏡下鼓室形成術を施行し,アブミ骨後脚の完全離断および前脚の不完全離断を確認した.アブミ骨上部構造およびキヌタ骨を摘出して人工耳小骨にてIVc再建を行い,良好な聴力改善を得られた.バルサルバ法で聴力が改善した機序として,アブミ骨上部構造が外側へ偏位し,前脚と底板を連結する軟部組織の張力が増大して伝音効率が改善した可能性が考えられた.バルサルバ法が鼓膜穿孔のない耳小骨連鎖不完全離断の診断に有用となりうることが示唆された.</p>

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