小腸膀胱瘻が保存的に閉鎖した小腸Crohn病の1例

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抄録

<p>【症例】46歳男性</p><p>【主訴】下腹痛、血尿</p><p>【現病歴】X年6月に下腹部痛、血尿を自覚した。A病院受診し膀胱炎の診断で抗菌薬を投与された。その後も症状が改善せずB病院を受診し、腹部CTで小腸の浮腫状変化と膀胱内の気泡を指摘された。腸管膀胱瘻を疑われ当科に紹介され入院となった。</p><p>【経過】身体所見上は下腹部の軽度圧痛のみであった。血液検査ではCRP・好中球優位の白血球上昇、尿検査で膿尿を認めた。入院同日の膀胱鏡では高後壁に浮腫性隆起病変を認め膀胱瘻を疑う所見であった。絶食補液、CTRXの投与を開始した。第2病日の大腸内視鏡ではS状結腸の狭窄が強く挿入困難であった。小腸造影で空腸狭窄、回腸の縦走潰瘍瘢痕を認めた。第7病日の腹部造影CTで膀胱内の気泡は消失していた。第8病日経口ダブルバルーン小腸内視鏡を施行し潰瘍および瘢痕による狭窄、造影で腸間膜付着側の縦走潰瘍を疑う所見を認めた。病理組織検査では肉芽種を認めなかったが、小腸Crohn病、小腸膀胱瘻と診断した。第9病日にIFXによる治療を開始した。第21病日に施行した膀胱鏡で瘻孔は改善していた。腹痛、血尿が改善し、経口摂取再開後も増悪せず第24病日退院となった。</p><p>【考察】Crohn病では1.5~4%に腸管膀胱瘻を合併することが知られている。またその約90%が外科的手術を要することが報告されている。本症例は腸管安静及び抗菌薬のみで小腸膀胱瘻が改善した点で比較的稀な症例と考え文献的考察を含め報告する。</p>

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