17世紀の会津地方における土壌の分類評価—『会津農書』と土地帳の比較—

書誌事項

タイトル別名
  • Soil classification and evaluation methods in Aizu District in 17th century: Comparison of <i>Aizu-nosho</i> and <i>Tochi-cho</i> documents
  • 17世紀の会津地方における土壌の分類評価 : 『会津農書』と土地帳の比較
  • 17セイキ ノ アイズ チホウ ニ オケル ドジョウ ノ ブンルイ ヒョウカ : 『 アイズノウショ 』 ト トチチョウ ノ ヒカク

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抄録

<p>17世紀に成立した2種類の文献,『会津農書』と土地帳を基に,近世の会津地方の農民が土壌をどのように分類していたのかを解析した.『会津農書』では,土壌は,農地の等級の高いものから順に,黃真土(山鳥真土),黒真土,白真土,沙真土,野真土,徒真土,沙土,野土,徒土の9種に分類された.これらの土壌は,容積重や色,味,土性,構造などによって特徴づけられ,作物の適不適と関連づけられた.土地帳は,村ごとに土壌分類・等級別の田畑面積が記録された広域的な調査記録であり,その209ヶ村の記載を集計解析した.土壌は,土壌型,色,混在物の3項目を組み合わせて分類され,総計62種の分類群が認められた.土壌型は,野土,真土,砂土,無特徴型(特定の土壌型を有しない)が主要で,部分的に,粘土,す土,渋土,瀝土,川ゴミ土,疎土,死土が認められた.色は,黒,白,赤の3色が基本で,混在物は,砂と石が主体であった.同種の土壌でも農地の等級には幅があったが,等級の中央値で比べると,『会津農書』の記載に対応した土壌の序列が認められた.村の位置と1/20万地形分類図,1/5万農耕地土壌図の比較より,真土は低地,野土は山地や台地に優占的に分布することが示されたが,土壌図上の図示区分と土壌型の分布は合致しなかった.資料の解析から,近世会津農民が,感覚を駆使して土壌を細密に分類し,農地の生産性評価に役立てていたことが明らかとなった.</p>

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