日本の比較認知発達研究を世界に発信する:異文化のはざまで

書誌事項

タイトル別名
  • International Outputs from Japanese Studies on Comparative Cognitive Development: In-between Different Cultures
  • 原著(特集・依頼) 日本の比較認知発達研究を世界に発信する : 異文化のはざまで
  • ゲンチョ(トクシュウ ・ イライ) ニホン ノ ヒカク ニンチ ハッタツ ケンキュウ オ セカイ ニ ハッシン スル : イブンカ ノ ワ ザ マデ

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抄録

<p>ヒトの子どもの認知発達を研究する際に,進化的に近縁なヒト以外の霊長類と比べるという比較認知発達の知見が有益な示唆を与えてくれる。日本の霊長類学では,初期から研究成果を国際的に発信することが重要視されており,筆者は主にチンパンジーを対象として,物の操作という非言語的な指標を用いた一連の比較認知発達研究の成果について,国際的に発信してきた。道具使用の基盤となる定位操作に着目して,チンパンジーとヒトの子どもを直接比較した結果,両種で類似した認知発達過程が見られる課題があることがわかった。しかし,社会的な文脈が含まれる課題ではヒトの子どもの優位性が示され,課題の特性によって異なる結果が得られた。認知発達にかんする基礎的なデータが比較的少ないチンパンジー以外の大型類人猿にも対象を拡大し,物の操作以外にも研究内容の幅を広げている。また,認知発達の基盤となる母子関係などについても研究を展開している。究極の異文化としてのチンパンジーという対象を,フィールド調査も含めた手法から研究する中で感じた,比較認知発達の成果を国際的に発信するために必要なことや今後の課題などについて考察した。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 29 (4), 156-163, 2018

    一般社団法人 日本発達心理学会

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