くも膜下出血で発症した後下小脳動脈分岐部近傍の椎骨動脈病変に対しステントを併用でinternal trappingを行った1例

書誌事項

タイトル別名
  • A patient with subarachnoid hemorrhage from a vertebral artery lesion involving the origin of the posterior inferior cerebellar artery treated by internal trapping with stenting
  • ク モ マク カ シュッケツ デ ハッショウ シタ アト カ ショウノウ ドウミャク ブンキブ キンボウ ノ ツイコツ ドウミャク ビョウヘン ニ タイシ ステント オ ヘイヨウ デ internal trapping オ オコナッタ 1レイ

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抄録

<p> 椎骨動脈(vertebral artery: VA)の後下小脳動脈(posterior inferior cerebellar artery: PICA)分岐部を含んだPICA‒involved lesionに対する治療ではPICAの温存目的で様々な試みがなされてきた.くも膜下出血で発症したPICA分岐部近傍の非典型的病変に対し血管内治療を施行した1例を報告する.症例は62歳女性で後頚部痛および嘔吐で発症し救急搬送となった.頭部CTで後頭蓋窩を中心にくも膜下出血を認めた.脳血管撮影では明らかな動脈瘤や解離病変は認めなかったが,右VAのPICA分岐部より近位でくも膜下腔と連続しない血管外への造影剤の漏出を認めた.PICA分岐部直前の右VAをballoonによる閉塞下での左VAの血管造影では血管外への造影剤の漏出が消失し,PICA‒involved lesionと同様の治療法が必要と考えられた.入院翌日に脳室ドレナージを留置後,血管内治療を施行した.PICAへの血流を温存する目的で対側の左VA経由でVA unionを越えPICAから右VA遠位までステントを留置後,PICA分岐部直前のコイルによるinternal trappingを行った.右VAからの造影剤の漏出の消失及び左VAから右PICAが逆行性に造影されることを確認し手技を終了した.術後経過は良好でmodified Rankin scale 0で自宅退院となった.本例では極小の動脈瘤や解離病変が潜在し,血管外に通じる瘻孔から仮性動脈瘤を形成している可能性を考えた.対側のVA経由でのPICAからVA遠位にステントを留置後のinternal trappingにより,病変の根治およびPICAの血流の温存に成功した.本法は周術期の血栓性合併症の問題はあるが,直達手術と比較し手術侵襲や手技の技術的な問題の点で優位性がある方法と考えられる.</p>

収録刊行物

  • NEUROSURGICAL EMERGENCY

    NEUROSURGICAL EMERGENCY 25 (2), 352-358, 2020

    特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency

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