核内受容体間のコミュニケーションによるSULT1E1遺伝子発現誘導機構

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抄録

核内受容体は,ホモ/ヘテロ二量体を形成することで様々な遺伝子の発現誘導に関与している.なかには,核内受容体同士が巨大な複合体を形成する可能性も示唆されているが,詳細は不明である.一方,エストロゲン硫酸転移酵素(SULT1E1)は,エストロゲンや内分泌かく乱物質を基質とし,硫酸化することで不活性化させる硫酸転移酵素の一種である.SULT1E1遺伝子の発現誘導には,核内受容体である常在性アンドロスタン受容体(CAR)の活性化が関与しており,本機構においてCARのDNA結合ドメイン(DBD)内のThr38の脱リン酸化による核移行が重要である.Negishiらは,Thr38周辺の配列(リン酸化モチーフ)がほとんどの核内受容体分子種の間で保存されていることから,他の核内受容体の機能においてもこのリン酸化モチーフが重要な役割を果たしている可能性があると考えた.エストロゲン受容体α(ERα)も,Ser212(ヒト)/Ser216(マウス)周辺のリン酸化モチーフが保存されている.<br>本稿では,SULT1E1遺伝子の発現誘導に関わるCARとERαの複合体形成と,ERαのリン酸化の必要性を明らかにした論文を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Negishi M., Drug. Metab. Dispos., 45, 532-539(2017).<br>2) Yi M. et al., Sci. Rep., 10, 5001(2020).<br>3) Fashe M. et al., FEBS Lett., 592, 2760-2768(2018).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 56 (11), 1046-1046, 2020

    公益社団法人 日本薬学会

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