母指CM関節症に対するsuture button単独使用によるThompson変法の長期経過

抄録

<p>母指CM関節症に対するThompson法は,大菱形骨摘出に加え長母指外転筋腱(APL腱)の移行による靱帯再建と吊り上げを行う関節形成術である.今回,APL腱の代わりにsuture buttonを単独で使用したThompson変法術後の長期経過について報告する.症例は2例2指,Eaton分類はstage 3とstage 4,術後経過観察期間は2例とも48ヶ月であった.疼痛(VAS),握力,ピンチ力,母指可動域,DASH/HAND20は2例とも改善を認めた.一方でMP関節過伸展変形の出現ないし増悪を認め,さらに1例においては早期より母指列沈下もみられた.Suture buttonを使用した本法は簡便な方法ではあるものの,糸断裂による母指列の急激な沈下や第2中手骨骨折などの重篤な合併症も報告されている.適応は慎重に検討する必要があると思われ,可能な限り強固な吊り上げと靱帯再建を行う事が望ましいと考えられる.</p>

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