津波災害がタイの漁村および沿岸域資源管理に与えた影響に関する研究

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  • Impacts of Tsunami Disaster on Thai Fishing Communities and Their Coastal Resource Management

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抄録

<p>2004年12月にタイ南部の沿岸部を襲ったインド洋大津波によって,タイの水産業は大きな打撃を受けた。本論文の目的は,第1に,津波が漁業者に及ぼした諸影響を評価すること,第2に,資源利用者と地域住民が津波災害後にいかに資源利用の持続性を保とうとしているかを明らかにすることである。漁業・養殖業の生産手段の相当部分が損害を受け,被害漁村の多くで沿岸域資源利用のあり方に顕著な変化がみられた。漁民の多くは現金収入を得るために漁獲努力量を増やした。違法操業が横行し,魚体の大きさにかかわりなく漁獲する行為が目立った。その一方,津波災害の教訓から,住民の間では,マングローブ林の植林と保全の必要性が広く認識されるようになった。植林用苗木の育成が盛んになり,マングローブ域内の魚類の産卵場所の保全が進められた。経済的な危機から脱するには,沿岸域資源の破壊的な利用を減らし,持続的な資源利用に努める必要があるという認識が広まっている。資源利用者および住民が持続的な資源利用をはかる必要性を認識することが,漁村復興を成功させる重要な要素になっている。</p>

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