中国水産物の需給動向と水産物貿易

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  • Studies on China’s Seafood Supply-demand Trend and International Trade

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抄録

<p>近年,中国の漁業生産が著しい成長を遂げている。2005年の「水産年鑑」によると,2002年の国別漁業生産量上位五ヶ国のうち,中国はトップの座を占めている。中国の漁業生産が大きく成長することができたのは,もちろん近年の経済体制の改革による漁民の生産積極性の向上と深く関連するが,その外にもう一つ重要な点は,その背後に巨大な水産物市場が存在しているからである。これはもちろん国内市場のみではなく,国際市場も含めて考えられる。</p><p>国内市場においては,周知のように,中国経済は1978年の「改革開放」政策の導入がきっかけとして,近年大きく成長しつつある。経済政策の効果として国民の生活に反映し,国民1人当たりの所得が大きく上昇した。後述するように,国内所得の上昇による食生活の改善に伴い,水産物に対する消費も次第に拡大しつつある。一方,国際市場においては,中国の経済改革とほぼ同じ時期に「200海里時代」の到来によって,これまで遠洋漁業を中心とする諸国の水揚げ量が急速に減少し,水産物供給にあたって不足分を輸入によって補う形を取っているのはほとんどである。結果的に,中国にとっての水産物市場は,成長しつつある国内市場からさらに外延的拡大し,海外市場も含む膨大な水産物市場を有するようになった。</p><p>本論文は,既存統計資料と現地調査に基づいて,中国の最大の水産物貿易国である日本との関係を中心に,近年,中国国内の水産物の需給動向が水産物貿易にどのような影響を与えたのかを検討することが目的とする。</p>

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