堀辰雄「(出帆)」と『萬葉集』

書誌事項

タイトル別名
  • Hori Tatsuo's <i>Shuppan</i> and the <i>Manyōshū</i>: Singing Ancient Songs, or Soldiers who do not sing Soldiers' Songs
  • 堀辰雄「(出帆)」と『萬葉集』 : 古の歌を歌うこと、あるいは防人歌を歌わない防人たち
  • ホリ タツオ 「(シュッパン)」 ト 『 マンヨウシュウ 』 : フル ノ ウタ オ ウタウ コト 、 アルイワ サキモリカ オ ウタワナイ サキモリ タチ
  • ――古の歌を歌うこと、あるいは防人歌を歌わない防人たち――

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抄録

<p>堀辰雄の晩年の小説草稿「(出帆)」では、散文の中に『萬葉集』歌を挿入する方法により、文学の新しい可能性が試されている。旧蔵書の書き込みを起点に、「(水のうへ)」を経て「(出帆)」に至るプロセスを辿ること、また設定と表現に顕著な類似性を持つリルケ「クリストフ・リルケの愛と死の歌」との比較を通して、「(出帆)」における古歌の利用が集団性の出現と共鳴の生起を支えていることを指摘し、それが救済へと接続される機序を提示した。そのうえで、「(出帆)」が防人の物語でありながら、その生成過程には防人歌の排除が見られることを明らかにし、防人たちの物語を防人歌以外の『萬葉集』歌によって再組成する方法とその効果について言及した。</p>

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