高齢者の趣味の種類および数と認知症発症:JAGES 6年縦断研究

  • LING Ling
    千葉大学大学院医薬学府先進予防医学共同専攻博士課程
  • 辻 大士
    筑波大学体育系
  • 長嶺 由衣子
    筑波大学体育系 東京医科歯科大学医学部付属病院総合診療科
  • 宮國 康弘
    国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学評価研究部 医療経済研究機構研究部
  • 近藤 克則
    筑波大学体育系 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学評価研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Types and number of hobbies and incidence of dementia among older adults: A six-year longitudinal study from the Japan Gerontological Evaluation Study (JAGES)
  • コウレイシャ ノ シュミ ノ シュルイ オヨビ カズ ト ニンチショウ ハッショウ : JAGES 6ネン ジュウダン ケンキュウ
  • [Types and number of hobbies and incidence of dementia among older adults: a six-year longitudinal study from the Japan Gerontological Evaluation Study (JAGES) (in Japanese)].

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抄録

<p>目的 超高齢社会において,認知症予防は重要な課題である。先行研究では,趣味を有する高齢者は認知症リスクが低く園芸,観光,スポーツ系の趣味を行っている者では認知症リスクが低いと報告されている。しかし,趣味の種類の数が増えれば効果も上乗せされるのか,またたとえばスポーツ系の中でも種類によって認知症の発症リスクが異なるのかは明らかでない。本研究の目的は,趣味の種類および数と認知症発症との関連を,約6年間の大規模縦断データを用いて明らかにすることである。</p><p>方法 日本老年学的評価研究(JAGES)が2010年に実施した要介護認定を受けていない高齢者を対象とした調査の回答者で,年齢と性に欠損がない56,624人を6年間追跡した。趣味の質問に有効回答が得られた者のうち,追跡期間が365日未満の者を除く49,705人を分析対象者とした。アウトカムの認知症発症は,365日以降の認知症を伴う要介護認定の発生と定義した。実践者割合が5%以上の趣味の種類(男性14種類,女性11種類)およびその数(0~5種類以上)を説明変数とし,基本属性,疾患,健康行動,社会的サポート,心理・認知機能,手段的日常生活動作能力の計22変数を調整したCox比例ハザードモデルを用いハザード比(HR)を算出した。</p><p>結果 追跡期間中に4,758人(9.6%)に認知症を伴う要介護認定が発生した。男女いずれも,認知症リスク(HR)はグラウンド・ゴルフ(男:0.80,女:0.80),旅行(男:0.80,女:0.76)を趣味としている者において,それらが趣味ではない者と比較して低かった。さらに男性ではゴルフ(0.61),パソコン(0.65),釣り(0.81),写真撮影(0.83),女性では手工芸(0.73),園芸・庭いじり(0.85)を趣味とする者で低かった。男女ともに趣味の種類の数が多くなるほど認知症発症リスクが低くなる有意なトレンドが確認された(男:0.84,女:0.78)。</p><p>結論 男女ともグラウンド・ゴルフ,旅行が趣味の者では認知症リスクが低く,また趣味の種類の数が増えるほどリスクは低下することが示唆された。本研究で有意な関連が見られた趣味の種類を中心に,高齢者が多様な趣味を実践できる環境づくりが,認知症予防を効果的に進めるうえで重要であることが示唆された。</p>

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