P-1-C09 経鼻胃管が鼻腔内でkinkし、抜去困難となった一症例

DOI
  • 高橋 美智
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 大瀧 潮
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 明城 和子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 高橋 佳代子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 杉森 光子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 上石 晶子
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 有本 潔
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 木実谷 哲史
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 小児科
  • 稲田 穣
    社会福祉法人 日本心身障害児協会 島田療育センター 歯科診療科

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抄録

はじめに 重症心身障害児(者)は摂食嚥下障害を合併することが多く、高齢化、重症化に伴い経管栄養が必要な症例が増えている。今回、経鼻胃管が鼻腔内でkinkし抜去困難となった一症例を経験したので報告する。 症例 当センターに長期入所中の63歳女性。診断は精神発達遅滞・てんかん・先天性白内障のため全盲。運動機能は立位保持、つかまり歩きは可能。2016年から経鼻胃管にて経管栄養を行っているが、経鼻胃管を自己抜去するため、1日3回経鼻胃管を抜き差し、注入中は四肢抑制を行っている。2018年5月某日、栄養剤注入終了後に経鼻胃管を抜去しようとしたところ全く動かず、突然抜去困難となった。開口器を使用し状況確認を試みたが困難であったためビデオ喉頭鏡で確認したところ咽頭後壁でU字型になっており、胃管が折れ曲がり鼻腔内に逆走していることが予測された。レントゲン写真で胃管が鼻腔内でkinkし固定されていることが判明した。レントゲン検査中に、患者の体動のためか固定されていた部分が緩んで胃管を抜去することが出来たが、歯科医師とも連携しての対応が必要であった。 考察 経管栄養の合併症として気管への誤挿入、胃粘膜からの出血、消化管穿孔、誤嚥などが挙げられる。検索しえたかぎりでは、人工呼吸器下で気管に誤挿入された胃管が反転し気管チューブ内に迷入していたという報告はあったが、同様の報告は確認できなかった。本症例は使用開始後10日目のエピソードであったが、1日3回挿入・抜去を行っており劣化が進み、kinkingにつながった可能性が考えられた。経鼻胃管の交換頻度については、日本静脈経腸栄養学会のアンケート調査によると“2週間に1回”もしくは“特に決めてない”が最多の28.5%であり定まった目安はないが、特に抜き差しで使用している場合は早めの交換が必要と思われた。また、今回歯科医師と協力して対応に当たったことは、適切な処置を行う上で重要であったと考えている。

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