P-1-B21 重症心身障害者の先駆的GHの運営と課題

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  • −先駆的GHの調査からー

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抄録

はじめに 障害者の居住の選択肢は多様化しているが、重症心身障害者(以下、重症者)では限定的で、自宅介護が困難となった場合ですら短期入所を転々としつつ空施設を待たざるを得ない。先駆的に重症者が入居するグループホーム(以下、GH)も散見されるが、運営実態も含めた報告や研究は少ない。そこで、こうした先駆的なGHの実情を明らかにしその普遍化を検討する必要がある。 目的 ア)重症者が住まうGHの現状やその諸条件を明らかにする。 イ)重症者が住まうGHの意義を明らかにする。 ウ)前二点から重症者が住まうGHを普遍的なものとして具体化する示唆を得る。 方法 重症者が入居しているGH7か所について質問紙調査を行ったうえでヒアリングを行いその結果を検討した。また、調査については文書で同意を得る等倫理的配慮を行った。 結果 7か所のGHは重症者の生活を支援するという法人の理念の下GHを設置していた。利用者は95人でうち重症者は48人(50.5%)であった。利用者数と職員数の比では、平均で1:1。18と国報酬で想定する最大1:4を上回っていたが、職員体制の量的・質的充実が課題であった。また、医療的ケアは5か所で実施されていたが、看護師の配置は2か所のみで様々な手法を活用しつつ限定的に対応していた。 GHの一人当たりの年間収入額の平均は4,900千円。5か所で自治体独自補助があったが、収支は厳しい。 結語 本調査から次の三点が示唆された。第一に、どんな重い障害があっても地域で暮らし続けることができる支援のため法人が理念を明確にする必要である。第二に、GHという生活の場で重症者の支援を行うためには人数とともに、一人ひとりの障害特性を理解し寄り添える人材の確保育成が必要である。第三に、重症者に対し適切なケアや地域での生活の支援をするためには、現在の国基準の拡充はもとより、都道府県や市の独自補助の継続や拡充が求められる。

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