P-1-B15 重症心身障害児(者)の口腔評価ツール作成への試み

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目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))にとって、口腔ケアは呼吸器感染症などの全身疾患を予防する重要なケアである。しかし、安全で効果的な口腔ケアを日常的に行うことは容易ではない。そのため、専門的口腔ケアの介入が必須である。介入頻度や依頼するタイミングの目安となる評価ツールとして、Oral Health Assessment Tool日本語版(以下、OHAT−J)やOral Assessment Guide(OAG)が使われている。 しかし、それらは要介護高齢者や口腔癌患者の口腔状態を評価するもので、重症児(者)には適さないところもある。そこで、当センター歯科外来受診患者に対してOHAT−Jを使用し、その不適切な点をまとめたので報告する。 方法 歯科外来受診の重症児(者)10名に対して、外来受診時間内にOHAT−Jを用いて口腔状態を評価した。評価に要した時間に加え、評価項目すべてのスコアを記録した。その記録から、不適切な項目や追加項目の必要性を検討した。 結果と考察 OHAT−Jは口腔の状態を8項目について評価したものである。重症児(者)は歯列や口蓋の形態だけでなく、特有の顎運動による影響、服用薬剤の副作用、過敏などがあり、特徴的な口腔内を呈している。さらに、知的精神面での問題も考慮する必要がある。評価が困難な項目、あるいは追加の必要性がある項目を検討した。その特徴的な口腔環境や全身状態、協力性などから、一般的な評価項目だけでは適切な評価を行うことは困難であり、口腔環境に大きな違いがあることがわかった。重症児(者)の評価を正確に行うためには、追加項目が必要でOHAT−J を準用した重症児(者)版の作成の必要性が明らかとなった。 結語 今後はこの結果を踏まえて、重症児(者)版のOHAT−J の作成を試みて、口腔評価ツールとしての有効性を検証したい。

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