岡山県における運転免許自主返納と認知症疾患医療センターの実態

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タイトル別名
  • Voluntary return of driver's license and the related activity of a neurocognitive center in Okayama prefecture
  • オカヤマケン ニ オケル ウンテン メンキョ ジシュ ヘンノウ ト ニンチショウ シッカン イリョウ センター ノ ジッタイ

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抄録

<p>道路交通法が2017年3月に改正され運転免許更新の要件がより厳格化されたが,運転免許の自主返納の経年的推移や認知症疾患センターにおける運転免許外来の実情については未だ十分検討されていない.そこで本研究では岡山県内における運転免許自主返納の実態について法令が施行された2017年3月から2019年までの3年間に渡る実態を年齢別や市町村別にまとめ,併せて同県内の一認知症疾患医療センターにおける運転免許外来の実情について検討した.その結果,この3年間で岡山県内では自主返納率が0.42%から0.80%とほぼ倍増し,特に75歳以上の後期高齢者が返納者中68.2~76.7%を占め,男性比は51~56%であった.自主返納理由としては,身体機能低下自覚と運転の必要性なしが主たる理由であった.市町村別返納率については,高齢化率が高くなると返納率が低下するという相関を前期高齢者で認め,後期高齢者でも同じ傾向が認められた.一方,道路交通法改正と同時に運転免許外来を設立した倉敷平成病院では,同期間の運転免許外来受診者は110名あり,平均年齢は79.6±4.5歳と高く,また男性比が85.6%と際立っていた.この110名中の自主返納者は24名(21.8%)で,その診断は軽度認知障害(MCI,mild cognitive impairment)が46%,次いでアルツハイマー病が25%であり,高齢配偶者との2人暮らしが半数を占めた.岡山県全体のデータと同県内一認知症疾患医療センターにおけるデータは,相互に補完し合う実態データとして位置づけられるものと考えられた.</p>

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