住民参加型農漁村開発と外部者・開発関係者の役割

書誌事項

タイトル別名
  • The Role of Development Workers as Concerned as Outsiders on Participatory Rural Development
  • 住民参加型農漁村開発と外部者・開発関係者の役割--フィリピン・パナイ島の沿岸資源管理の事例から
  • ジュウミン サンカガタ ノウギョソン カイハツ ト ガイブシャ カイハツ カンケイシャ ノ ヤクワリ フィリピン パナイトウ ノ エンガン シゲン カンリ ノ ジレイ カラ
  • A Case Study on Coastal Resource Management in Panay Island, the Philippines
  • フィリピン・パナイ島の沿岸資源管理の事例から

この論文をさがす

抄録

<p>近年,開発援助の分野では参加型開発が重視されている。しかし,農漁村開発における様々な開発関係者の活動を具体的に分析し,彼らの役割を明らかにした先行研究はそれほど多くない。外部者である開発関係者が地域住民に対してどう働きかけたかを検討し,持続的な参加型農村開発の実現に向けて,外部者がいかなる役割を果たすことができるかを明確にすることは重要である。</p><p>本論文の目的は,フィリピン・パナイ島の沿岸域資源管理をめぐる二つの事例を取り上げて,外部者の役割を分析・検証することである。第一の事例は,地方自治体の連合組織であるBBRMCI(Banate Bay Resource Management Councils, Inc.)である。第二は,NGOであるプロセスによる活動事例である。外部者の役割は次の4つである。第一に,住民とともに学びながら,援助を働きかけること,第二に,住民と住民をとりまく環境をつなぐ役割である。第三に,住民を側面から支援するパートナーであり,第四に,農漁村開発を支援するファシリテーターである。</p><p>現在,BBRMCIやプロセスがそれぞれ関与した地域の沿岸資源管理には多くの課題が残されている。BBRMCIによる資源管理にかかわるほとんどすべての活動は必ずしも住民主体ではなく,住民へのトップダウン型アプローチで行われている。そのため,住民の間には沿岸資源管理についての認識に大きな差がある。他方,プロセスによる住民へのアプローチは,パートナーとファシリテーターの役割を果たしつつあるが,資金面及び人的配置の面で制限があり,活動の持続性に問題がある。BBRMCIとプロセスの組織としての異なった特性を生かすには,地方自治体やNGOとのより緊密な連携と協働が不可欠である。現場からの課題を住民とともに見極め,その課題を解決するまでの過程を,住民主体で行うことができるような,外部者からの支援が求められている。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ