平均寿命に近い要介護老人保健施設利用者における血管機能と 下肢筋力の関連性

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  • Relationship between Vascular Function and Lower Extremity Muscle Strength in Elderly Health Care Facility Patients with Near Average Life Expectancy

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抄録

背景:高齢女性において起き上がりと起立・着座動作を含む起居動作能力の低下は脈波伝播速度(baPWV) に負の影響を与える要因と考えられている。70歳前半の集団において、年齢、起居動作能力から動脈硬化との強い関連性が報告されているが、介護老人保健施設で生活をしている平均寿命に近い要介護高齢者では不明である。 目的:本研究の目的は日本の郊外で典型的な介護老人保健施設に入所する平均寿命に近い要介護高齢者において下肢筋力、動作能力と脈波伝播速度との関連性を明らかにすることであった。 対象と方法: 対象は群馬県内の3施設の介護老人保健施設に入所する自立歩行可能な要介護高齢者集団であった。横断研究の期間は 2016年4月より2018年3月であった。アウトカムはBMI値、体脂肪率(%) 、全身筋量(kg) 、上腕-足首間脈波伝搬速度(baPWV)。パフォーマンステストの測定:5 回立ち上がりテストの所要時間 、30 秒間反復踵上げ反復テストの回数であった。統計解析はそれぞれの記述統計およびアウトカムに関する標準値域に入った人の頻度等を評価し、重回帰分析を行った。 結果:参加者は49 名、解析対象者は32 名であった。baPWV 値は施設 A: 2089.8±623.3,施設 B :1961.5±353.0,施設 C :2203.5±773.9 施設間の差は認められなかった。低 BMI 群は正常 BMI 群と比べて有意に baPWV が高いという結果が得られた(p=0.010)。20 回以上踵上げ運動を行えた群は 19 回以下の群よりも有意に baPWV が高かった(P=0.035)。 結論 :BMI は運動機能と独立して血管機能に関連していることが明らかになった。20 回以上踵上げ運動を行えた群では有意な関連性を示した。平均寿命に近い要介護高齢者では、可能な限り動作能力の向上と区別した血管機能維持を目的とした下肢筋力の維持にかかわる理学療法が重要であると考えられた。

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