大正ロマンの生んだフェミニスト:山田わか・嘉吉の協働と思想(その11)

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タイトル別名
  • タイショウ ロマン ノ ウンダ フェミニスト : ヤマダワ カ ・ カキチ ノ キョウドウ ト シソウ(ソノ 11)

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抄録

<p>「中動性」概念は、戦時のフェミニスト思想・運動家と国家権力、またフェミニスト知識人と一般の女性との関係性を、戦争責任をめぐって一方的な被害者は存在しないという関係性に読み替えることを可能にする。自律的な主体を前提としたリベラリズムの政治体制に対抗する現代フェミニズム思想として提唱される「ケアの倫理」も、ケアをする者・ケアをされる者との間の相互依存関係性を軸としている点で、中動性が権力を内における出来事として双方向的に捉えようとする事態であることと共通する視点を持つ。このような「ケアの倫理」が、山田わかの「身の上相談」を社会事業と捉える視点とどう重なるかを考察した。わかが夫婦・家族内の倫理主義という理想を唱え、それを社会事業と位置づけた発想そのものは「ケアの倫理」と親和性を持つが、わかの家族主義が女性の母・妻役割を固定し、女性に忍従を強いる傾向にあったことは「ケアの倫理」とはそぐわない。</p>

収録刊行物

  • ことば

    ことば 41 (0), 157-168, 2020-12-31

    現代日本語研究会

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