O-1-F05 重症心身障害児(者)と膀胱癌の診断・治療;3例の経験から

  • 植村 篤実
    独立行政法人 国立病院機構 西別府病院 小児科
  • 内山 伸一
    独立行政法人 国立病院機構 西別府病院 小児科
  • 今井 一秀
    独立行政法人 国立病院機構 西別府病院 小児科
  • 後藤 一也
    独立行政法人 国立病院機構 西別府病院 小児科
  • 平松 美佐子
    独立行政法人 国立病院機構 西別府病院 小児科

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説明

はじめに 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の高齢化に伴い、悪性腫瘍は避けて通れない問題となっている。膀胱癌は一般的に高齢男性に多い疾患である。重症児(者)は寝たきり、神経因性膀胱、尿路結石、先天性腎尿路奇形(CAKUT)などの膀胱癌の危険因子を有することが多い。当院で経験した膀胱癌の症例を提示し、重症児(者)特有の問題について考察する。 症例1 精神運動発達遅滞の男性。2000年45歳時に膀胱内有茎性非乳頭状腫瘤を認め、当院に泌尿器科医師を招聘して開腹して膀胱部分切除術を施行した。10か月後に肺と肝に転移し、1か月の経過で永眠。 症例2 脳性麻痺の男性。2003年35歳時に排尿痛に引き続いて肉眼的血尿が出現。3か月前までは尿潜血陰性で、2か月前に1+、1か月前に2+であった。膀胱内に有茎性非乳頭状腫瘤を認めた。当院に泌尿器科と麻酔科の医師を招聘し、膀胱部分切除術を施行。その後主治医がBCG膀胱内注入療法を行った。当院で年1回CT、年3回尿細胞診を行い再発なし。47歳時に肝細胞癌を発症し、48歳で永眠。 症例3 脳性麻痺の女性。2018年60歳時に肉眼的血尿と排尿痛を認めた。半年前の嘔吐精査時のCTでは腫瘤を認めず、1か月前までは尿潜血±であった。筋緊張が強く開脚ができず、膀胱鏡検査が困難であった。CTで膀胱内腫瘤を認め、尿管や膣に浸潤しているおそれあり。高次機能病院に転院し、膀胱摘出術を予定している。 考察・結語 2例で発見契機が肉眼的血尿であった。症例1,2では一般的な膀胱癌発症年齢よりも若年で、症例3は女性である。重症児(者)に肉眼的血尿を認めた場合には、好発年齢でなくても膀胱癌にも焦点を当てて鑑別を進めることが望まれる。 術後の管理に重症児(者)医療の視点が必要で一般病院では困難であり、当院での手術やICU管理可能な施設での手術を選択した。

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