新規尿酸降下薬ドチヌラド(ユリス<sup>®</sup>錠)の薬理学的特長及び臨床効果

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タイトル別名
  • Pharmacological properties and clinical efficacy of dotinurad (URECE<sup>®</sup> tablets), a novel hypouricemic agent
  • 新薬紹介総説 新規尿酸降下薬ドチヌラド(ユリス錠)の薬理学的特長及び臨床効果
  • シンヤク ショウカイ ソウセツ シンキ ニョウサン コウカヤク ドチヌラド(ユリスジョウ)ノ ヤクリガクテキ トクチョウ オヨビ リンショウ コウカ

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説明

<p>ドチヌラド(ユリス®錠0.5 mg,1 mg,2 mg)は痛風・高尿酸血症治療薬として2020年1月に製造販売承認を受けた.既存の尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロンの問題点と考えられる肝障害リスクやCYP2C9阻害による薬物相互作用の回避をコンセプトとして創製された薬剤である.発現細胞において,ドチヌラドは腎臓の近位尿細管に発現する尿酸再吸収トランスポーターであるURAT1を強力に阻害した一方で,尿酸分泌トランスポーターであるABCG2,OAT1及びOAT3に対する阻害は弱かった.フサオマキザルにおいて,ドチヌラドは用量依存的な血漿中尿酸値低下作用を示し,ベンズブロマロンよりも低用量で効果を示した.薬物性肝障害発現リスクを評価した結果,ドチヌラドはベンズブロマロンに比べてラット肝ミトコンドリア阻害が弱く,臨床用量又は臨床曝露量を考慮すると薬物性肝障害リスクを示唆する所見は認められなかった.ヒト肝ミクロソームを用いてCYP分子種に対する影響を検討した結果,ドチヌラドはいずれの分子種に対しても阻害は弱く,臨床用量においても阻害する可能性は低いと考えられた.臨床薬理試験において,性別及び年齢による差は認められず,重度までの肝機能障害者及び中等度までの腎機能低下者においても用法・用量の調節を行うことなく投与可能であると考えられた.後期第Ⅱ相試験及び長期投与試験において,ドチヌラドは低用量で血清尿酸値低下作用を示し,維持用量(2又は4 mg)を投与したほとんどの患者で治療目標である血清尿酸値6 mg/dL以下を達成した.また,肝関連も含めて安全性上の特段懸念される副作用は認められなかった.以上,各種非臨床試験及び臨床試験結果から,ドチヌラドはこれまでの尿酸降下薬とは異なる,選択的尿酸再吸収阻害薬(selective urate reabsorption inhibitor:SURI)であり,低用量で効率的に血清尿酸値を低下させる薬剤であることが明らかとなった.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 155 (6), 426-434, 2020

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (18)*注記

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