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- 太田 有美
- 大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科
書誌事項
- タイトル別名
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- Clinical pathology and management of presbyacusis
- 老年医学の展望 加齢性難聴の病態と対処法
- ロウネン イガク ノ テンボウ カレイセイ ナンチョウ ノ ビョウタイ ト タイショホウ
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説明
<p>難聴は高齢者の多くが直面する問題である.高齢者において難聴はコミュニケーション障害の原因となり,社会的孤立やうつを引き起こす要因となり得る.認知症発症のリスク要因としても注目されている.加齢性難聴は感音難聴であり,末梢の感覚器の機能低下,聴覚中枢の機能低下,認知機能全般の低下が関与している.一般的に高音部から聴力低下が進行してくるが,小さな音が聞こえにくくなるというだけでなく,語音明瞭度が下がるため,大きな声であっても内容が聞き取れない,声が大き過ぎると逆に聞き取れない,という症状も生じる.加齢性難聴を進行させる要因としては,遺伝的要因の他,後天的な要因として,糖尿病,循環器疾患,腎障害といった疾患,騒音暴露が挙げられる.難聴の予防という観点からは,動脈硬化を予防するための生活習慣,若年のうちからの強大音への暴露の回避といった指導が必要である.難聴が進行して生活上の支障が生じるようになれば,補聴器装用を行うこととなる.高度難聴では人工内耳の適応となる.人工内耳の機器の改良,手術方法の確立により,人工内耳の適応は広がっている.これら補聴デバイスは聴覚機能全てを補完するものではないが,高齢者の難聴に対しても有益である.高齢者自身が難聴を自覚すること,補聴デバイスも積極的に装用できるようにすることが大切であり,広く社会に啓蒙していく必要がある.</p>
収録刊行物
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- 日本老年医学会雑誌
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日本老年医学会雑誌 57 (4), 397-404, 2020-10-25
一般社団法人 日本老年医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1391975276376249472
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- NII論文ID
- 130007948835
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- NII書誌ID
- AN00199010
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- NDL書誌ID
- 030804638
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- ISSN
- 03009173
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- PubMed
- 33268622
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- PubMed
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可