唱歌の文化的位置付けに関する一考察
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- 石原 慎司
- 秋田大学教育文化学部
書誌事項
- タイトル別名
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- The cultural position of shoka songs in light of domesticity, traditionality, and classicality
- 自文化、伝統文化、古典に向けて
説明
<p> 唱歌はどこの文化的所産であるのか、これまで学術的な説明がなされてこなかった。その結果、教科書で唱歌が日本の文化として明示されていないばかりか、外国曲と並んで単なる歌唱教材のひとつの扱いとなっていたりする。一方で、 国家政策や学習指導要領解説などの公文書には、唱歌を自文化に類する文言で記すことが増えてきており、冒頭の問いに対する検証をすることが急務となっている。</p><p> そこで本稿では唱歌の文化的位置付けを明らかにすべく、文化の定義をルーマンの自己準拠的な社会システム理論に求め、ここで示された文化の構成要素に基づき唱歌を検討した。その結果、唱歌は日本の社会から生み出されたものであること、社会的課題の解決のために国家政策として唱歌を用いていること、そして、国民に広く受容され当該社会の記憶が含まれているという 3 点がルーマンの定義に合致しており、唱歌は自文化であることを検証することができた。</p><p> 最後に、伝統や古典の定義に基づき検討を重ねた結果、唱歌は時間的に伝統文化といえる域に達しており、中には古典の範疇に入る可能性があるのではないかと思われる曲も存在することを示唆した。</p>
収録刊行物
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- 音楽表現学
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音楽表現学 17 (0), 13-32, 2019-11-30
日本音楽表現学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1391975276383217024
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- NII論文ID
- 130007948249
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- ISSN
- 24351067
- 13489038
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可