ウォーキングによる健康ポイント事業が高齢者の歩行時間,運動機能,うつに及ぼす効果:傾向スコアを用いた逆確率重み付け法による検証

DOI Web Site PubMed オープンアクセス
  • 藤原 聡子
    慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 千葉大学予防医学センター
  • 辻 大士
    千葉大学予防医学センター 筑波大学体育系
  • 近藤 克則
    千葉大学予防医学センター 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学評価研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Effectiveness of walking point projects with incentives for walking time, physical function, and depression among older people: inverse probability of treatment weighting using propensity scores
  • ウォーキング ニ ヨル ケンコウ ポイント ジギョウ ガ コウレイシャ ノ ホコウ ジカン,ウンドウ キノウ,ウツ ニ オヨボス コウカ : ケイコウ スコア オ モチイタ ギャクカクリツ オモミズケ ホウ ニ ヨル ケンショウ

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抄録

<p>目的 本研究は,歩行量に応じてポイントを得るウォーキングポイント事業による参加高齢者の歩行時間の増加,運動機能の低下予防とうつの抑制効果について傾向スコアによる逆確率重み付けを用いて検証することを目的とした。</p><p>方法 日本老年学的評価研究(JAGES)が横浜市在住の要介護認定を受けていない65歳以上を対象に実施した,2013年と2016年の2時点の調査データを用いた。横浜市が2014年度に開始した「よこはまウォーキングポイント事業(YWP)」への参加状況を2016年調査で尋ねた。性,年齢,1日の平均歩行時間(~30分未満,30~59分,60~89分,90分~),運動機能(基本チェックリスト5項目の該当数),うつ(Geriatric Depression Scale日本語15項目版),YWPの参加状況の回答に欠損があった者を除外した4,509人を分析対象者とした。分析は,YWP参加群に対する歩行時間,運動機能,うつの効果について,傾向スコアによる逆確率重み付けを用いて検証した。</p><p>結果 対象者のうちYWP参加群は,758人(16.8%)であった。傾向スコアによる逆確率による重み付けでYWP参加群と非参加群の背景要因のバランスを取った結果,参加群は非参加群に比べて,歩行時間は有意に増加し(非標準化偏回帰係数[B]=3.61,95%信頼区間[95% CI]:1.04,6.17),運動機能得点(B=−0.13,95% CI:−0.23,−0.03)およびうつ得点は有意に減少した(B=−0.21,95% CI:−0.42,−0.01)。</p><p>結論 ウォーキングポイント事業は,高齢者の歩行時間の増加や運動機能の低下予防,うつの抑制に効果があることが示唆された。自治体による歩行量に応じた健康ポイント事業は,対象者を選別しないポピュレーションアプローチとして参加する高齢者の健康増進に役立つ取組だと考えられる。</p>

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