パーキンソン病での神経保護標的としてのアストロサイトの抗酸化分子

  • 浅沼 幹人
    岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 脳神経機構学分野
  • 宮崎 育子
    岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 脳神経機構学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Anti-oxidants in astrocytes as target of neuroprotection for Parkinson’s disease
  • パーキンソンビョウ デ ノ シンケイ ホゴ ヒョウテキ ト シテ ノ アストロサイト ノ コウサンカ ブンシ

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抄録

<p>近年,アストロサイトの機能不全がいくつかの神経疾患における神経細胞の脆弱性に関与していることが報告されている.グルタチオン(GSH)は中枢神経系で最も豊富な内在性抗酸化分子であり,その基質であるシステインは容易に酸化二量体シスチンになる.神経細胞はシスチンの輸送システムをもたないため,神経細胞のGSH合成は,周囲にあるアストロサイトでのシスチン/グルタミン酸交換トランスポーター(xCT)を介したシスチンの取り込み,GSH合成および放出に依存している.また,強力な抗酸化分子で亜鉛結合タンパク質のメタロチオネイン(MT)の発現・放出がドパミン神経障害時にアストロサイトにおいて亢進し,神経保護にはたらく.そして転写因子Nrf2はMT-1およびGSH関連分子の発現を誘導する.我々はこれまでに,いくつかの抗てんかん薬,セロトニン5-HT1Aレセプターアゴニスト活性をもつ薬剤,植物由来化学物質(フィトケミカル)などが,アストロサイトにおけるxCT発現,Nrf2活性化,GSHあるいはMTの増加と放出を介して,パーキンソン病モデルでドパミン神経変性に対して神経保護効果を発揮することを明らかにした.一連のアストロサイトの抗酸化防御機構を介した神経保護の研究の結果,神経保護のためのアストロサイトの3つの標的分子系として,①xCT-GSH生成系,②Nrf2系,③セロトニン5-HT1Aレセプター-Nrf2-MT系,5-HT1A-S100β系を見出している.本稿では,パーキンソン病でのアストロサイトのGSH, MTなど抗酸化分子を標的とした神経保護の可能性について概説する.</p>

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