OH反応性計測によるオゾン生成機構の解明

  • 梶井 克純
    京都大学大学院地球環境学堂・人間環境学研究科 国立環境研究所地域環境研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Ozone Formation Prediction by OH Reactivity Measurements

この論文をさがす

説明

<p>オゾンの大気中での光化学的生成量を推定するためには、揮発性有機化合物(VOC)や窒素酸化物(NOx)の濃度を精密に測定する必要がある。大気中に存在するVOCは多岐にわたることから網羅的観測は現実的ではなく、OH反応性の計測が有効である。レーザー分光法を駆使したポンプ・プローブ法により大気中のOHの減衰を測定してOH反応性を測定できるシステムを構築した。種々の大気環境でOH反応性および反応性微量成分の同時測定を行い、化学成分分析から導かれるOH反応性とポンプ・プローブ法による直接測定と比較した。人間活動の活発な地域(東京都心、横浜市)郊外地域(八王子、つくば市、京都市)森林(Manitou Colorado、和歌山県有田、多摩丘陵)など多くの地点で観測した結果120種類もの化学成分を測定しても25−50%もの未知反応性が観測された。未知反応性の起源を探索するために外気観測に加えて、単一植物から放出される気体の分析、シャシダイナモによるガソリン自動車の排気ガス分析、スモッグチャンバーによる光化学反応が進行した空気の分析などを進めた。その結果、植物や人為起源の未計測VOCと、大気中で生成する2次的なVOCである可能性が高いことが明らかとなった。</p>

収録刊行物

  • 大気環境学会誌

    大気環境学会誌 56 (1), 18-24, 2021-01-10

    公益社団法人 大気環境学会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ