B<sub>m</sub>型およびAB<sub>m</sub>型における<i>ABO</i>遺伝子解析の意義

  • 前島 理恵子
    帝京大学医学部附属病院輸血・細胞治療センター
  • 藤原 孝記
    帝京大学医学部附属病院輸血・細胞治療センター 帝京大学医療技術学部臨床検査学科
  • 大曽根 和子
    帝京大学医学部附属病院輸血・細胞治療センター
  • 難波 宏美
    帝京大学医学部附属病院輸血・細胞治療センター
  • 永友 ひとみ
    帝京大学医学部附属病院輸血・細胞治療センター
  • 成田 圭吾
    帝京大学医学部附属病院輸血・細胞治療センター
  • 田代 晴子
    帝京大学医学部血液内科
  • 白藤 尚毅
    帝京大学医学部附属病院輸血・細胞治療センター 帝京大学医学部血液内科

書誌事項

タイトル別名
  • Genetic analysis of B<sub>m</sub> and AB<sub>m</sub> phenotypes
  • B[m]型およびAB[m]型におけるABO遺伝子解析の意義
  • B[m]カタ オヨビ AB[m]カタ ニ オケル ABO イデンシ カイセキ ノ イギ

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抄録

<p>ABO血液型には多くの亜型が存在し,血清学的性状によって分類されている。ABO遺伝子解析において,多くの亜型ではエキソン6と7に変異を認めるが,日本人に多いBm型はエキソン6と7に変異を認めないため,従来の遺伝子解析ではB/Oと判定される。近年,Bm型にはイントロン1内のエンハンサー領域を含む5.8 kb,3.0 kbの欠失や転写因子結合モチーフの変異があることが解明され,この変異によりB抗原の発現量が減少することが報告されている。当院にて血清学的性状により,Bm型およびABm型と判定された17症例について,PCR-SSP法によりエンハンサー領域を含む欠失を認めるBm遺伝子の検出について検討した。血清学的検査ではすべての症例で吸着解離試験にてB抗原が証明され,PCR-rSSO法による遺伝子タイピングでは,16例がB/OもしくはA/Bと判定され,1例がA/Oと判定された。Bm遺伝子を検出するPCR-SSP法では,16例に5.8 kbの欠失が認められ,1例は,3.0 kb,5.8 kbどちらの欠失も認められなかった。Bm遺伝子が検出されなかった症例は,遺伝子タイピングでA/Oと判定されており,血液型キメラが疑われた。血清学的検査によりBm型またはABm型と判定された場合,ABO遺伝子解析にてBm型に特有な欠失を調べることは,血液型を決定する上で有用であった。また,血清学的検査と遺伝子解析に相違が認められた場合,フローサイトメトリーによる赤血球の抗原量解析の必要性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 70 (1), 1-8, 2021-01-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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