日本の高血圧診療に家庭血圧測定を導入した場合の費用対効果分析

  • 福永 英史
    東北大学大学院薬学研究科医薬開発構想寄附講座
  • 大久保 孝義
    東北大学大学院薬学研究科医薬開発構想寄附講座 東北大学21世紀COEプログラム‘医薬開発統括学術分野創生・人材育成拠点'
  • 小林 慎
    クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社医療アセスメント研究部
  • 田巻 佑一朗
    東北大学大学院薬学研究科臨床薬学分野
  • 菊谷 昌浩
    東北大学大学院薬学研究科臨床薬学分野
  • 中川 美和
    東北大学大学院薬学研究科臨床薬学分野
  • 小原 拓
    東北大学大学院薬学研究科臨床薬学分野 東北大学21世紀COEプログラム‘医薬開発統括学術分野創生・人材育成拠点'
  • 目時 弘仁
    東北大学大学院薬学研究科臨床薬学分野
  • 浅山 敬
    東北大学21世紀COEプログラム‘医薬開発統括学術分野創生・人材育成拠点'
  • 戸恒 和人
    東北大学大学院薬学研究科臨床薬学分野 東北大学21世紀COEプログラム‘医薬開発統括学術分野創生・人材育成拠点'
  • 橋本 潤一郎
    東北大学大学院薬学研究科医薬開発構想寄附講座 東北大学21世紀COEプログラム‘医薬開発統括学術分野創生・人材育成拠点'
  • 鈴木 一夫
    秋田県立脳血管研究センター疫学研究部
  • 今井 潤
    東北大学大学院薬学研究科臨床薬学分野 東北大学21世紀COEプログラム‘医薬開発統括学術分野創生・人材育成拠点'

書誌事項

タイトル別名
  • The Cost-effectiveness of the Introduction of Home Blood Pressure Measurement for the Diagnosis and Treatment of Hypertension
  • ニホン ノ コウケツアツ シンリョウ ニ カテイ ケツアツ ソクテイ オ ドウニュウシタ バアイ ノ ヒヨウ タイ コウカ ブンセキ
公開日
2008
資源種別
journal article
DOI
  • 10.24742/jhep.2007.13
公開者
医療経済学会/医療経済研究機構

この論文をさがす

説明

<p>目的:近年の医療費の高騰、財政難を背景に、限られた医療資源の有効活用が求められている。特に費やされる医療費中で大きな割合を占める高血圧性疾患について、費用対効果を考慮した治療の効率化は重要な課題である。家庭における自己測定血圧(家庭血圧)は、白衣高血圧を発見できるなど医療環境下で測定される随時血圧に比べ予後予測能に優れており、医療費の削減につながることが期待される。本研究は未治療随時血圧高血圧者に高血圧治療が行われると仮定した場合の、高血圧診療に家庭血圧測定を導入することによる医療費の削減額を試算することを目的とした。</p><p>方法:本研究では日本の40歳以上の男女6,759万人を対象と仮定し、費用対効果分析を行った。分析にはマルコフモデルを用い、データは家庭血圧を導入した高血圧・循環器疾患に関するコホー卜研究である大迫研究のデータおよび厚生労働省発表の統計資料等を使用した。分析期間は一生涯・10年間といった2通りについて検討した。</p><p>成績:費用分析の結果、一生涯・10年間とどちらの分析においても、HBP測定の導入により一人当たりにかかる平均医療費は削減した。さらに10年間の費用分析において総医療費について検討した結果、HBP導入により10年間で約10兆2,400億円(男性:3兆8,500億円、女性:6兆3,900億円)の医療費の削減につながることが示唆された。この総医療費の削減額について感度分析を行ったが、医療費の削減額は4兆6,400億円から13兆200億円と十分な医療費の削減が認められた。この医療費の削減は、降圧治療を受けておらず随時血圧高血圧域かつ家庭血圧正常血圧域である者が、家庭血圧の導入により新規受診が不必要であると判断されることで、本来費やされるはずであった医療費が回避されること、また家庭血圧導入による的確な血圧コントロールによるその後の脳卒中発症数の低下に起因するものであった。一方、効果分析を行った結果、一生涯・10年間とどちらの分析においても、生存年数はわずかに延長していたが大きなものではなかった。しかし、公衆衛生学的な観点からHBP導入の効果を検討した結果、総死亡者数・総脳卒中発症者数がHBP導入により、それぞれ10年間で約12,000人・約41,000人減少した。</p><p>結論:未治療随時血圧高血圧者において家庭血圧を導入することで医療費が削減することが示唆された。家庭血圧の更なる普及が望まれる。</p>

収録刊行物

  • 医療経済研究

    医療経済研究 19 (3), 211-232, 2008

    医療経済学会/医療経済研究機構

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ