地域医療と病院総合診療 〜地域に求められる診療提供体制, そして総合診療の位置付け〜

  • 佐藤 正通
    国立病院機構高崎総合医療センター 総合診療科

書誌事項

タイトル別名
  • チイキ イリョウ ト ビョウイン ソウゴウ シンリョウ : チイキ ニ モトメラレル シンリョウ テイキョウ タイセイ,ソシテ ソウゴウ シンリョウ ノ イチズケ

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抄録

昨今の社会保障政策上または地域医療役割分担の明確化により,臨床研修に目を向けると,プライマリ・ケア履修が管理型臨床研修指定病院では希薄になる傾向にある。 また実地臨床面においても大病院の一般外来は縮小し,主治医機能は地域の医療機関へ移譲していく方向性が示されている。 地域完結型医療提供が求められるこのような時節にあって,地域に限りある医療資源の有する診療能力を有効に地域医療へ絶え間なく提供していくためには,個々の医療機関の診療特性を活かした地域内役割分担の明確化と在宅診療を含め地域医療を最前線で担う医師もしくは医療機関と,地域中核医療機関に設置された病院総合診療を担う医師の相互の連携が重要となるものと考えている。 医療法によって規定される地域医療支援病院設置や診療報酬 (健康保険法)上の評価項目などにより,また医療機関個別の規模や機能により地域内において担うべく役割のモデルは既に提示されており,超急性期を目指す医療機関に求められる機能は地域密着型医療ではなく紹介や救急要請による「集約」であることは周知の事である。 病院の有する診療機能を的確に地域医療に反映させていくために病院総合診療は求められる診療能力であり,地域であれ病院であれ総合診療を履修した医師同士の連携が最も効率的でありシームレスと思われる。 その背景には医療機関の別はあれども複数の診療段階の担い手が,お互いの医療機関の立場や能力を理解し,そして尊重し,地域内ニーズに応じた診療体系を形成していく,もしくは目指していくことが肝要と考えている。「地域のフロントラインから病院のフロントラインへ,そして住み慣れた地域へ」,といった医療連携利用者に無理のない人の流れを地域医療群もしくは医療介護群として形成していくことか求められていると感じている。

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