デュピルマブの投与が奏効したアトピー性皮膚炎を合併した難治性水疱性類天疱瘡の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Refractory Bullous Pemphigoid Complicated by Atopic Dermatitis Successfully Treated with Dupilumab
  • デュピルマブ ノ トウヨ ガ ソウコウ シタ アトピーセイ ヒフエン オ ガッペイ シタ ナンチセイ スイホウセイルイ テンポウソウ ノ 1レイ

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説明

<p>61 歳,男性。X-1 年 5 月より全身の瘙痒を自覚し,近医皮膚科で プレドニゾロン(PSL)10 mg/day の内服,クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏の外用,光線療法で治療されたが難治であった。徐々に症状の増悪を認めたため,血液検査を行ったところ抗 BP180 抗体の上昇を認め,X 年 2 月に前医総合病院皮膚科を紹介され受診した。蛍光抗体直接法で表皮真皮境界部に IgG と C3 の線状沈着がみられ,水疱性類天疱瘡(Bullous Pemphigoid:BP)の診断で高用量ステロイド内服(PSL 1 mg/kg/day),シクロスポリンやミゾリビンなどの免疫抑制剤の追加,ステロイドパルス療法,IVIG(免疫グロブリン静注)療法,血漿交換療法が施行され,入退院を繰り返しながら加療されたが,瘙痒と水疱の新生が持続し,精査・加療を目的に X 年 5 月に当院を紹介され受診した。初診時の BPDAI(Bullous Pemphigoid Disease Area Index)は 95 点,抗 BP180 抗体は 3830 U/ml と高値であった。高用量ステロイド内服に加え,アザチオプリンの追加,IVIG 療法を施行されたが瘙痒と水疱の新生が持続していた。既往症にアトピー性皮膚炎があり,Th2 炎症が強力に病態に関与している可能性を考慮されデュピルマブの投与が開始された。その後,瘙痒と水疱新生は速やかに消退し,病勢のコントロールが可能となり,以後 PSL の減量も可能となった。重篤な副作用がなく,アトピー性皮膚炎で使用経験のあるデュピルマブは BP の有力な治療選択肢の 1 つになりうると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (1), 26-29, 2024-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (6)*注記

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