食料消費と身長 : 「若者の野菜離れ」 ; 韓国のケース

DOI 機関リポジトリ Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Food Consumption and Children's Height : "Steering away from Vegetables" ; the Case of South Korea
  • ショクリョウ ショウヒ ト シンチョウ : ワカモノ ノ ヤサイ バナレ : カンコク ノ ケース

この論文をさがす

抄録

韓国経済は,朝鮮戦争(1950-1953)の傷跡もあり,戦後の経済復興は日本より20年以上遅れて始まった。他方日本経済は,1990年代初め「バブル崩壊」があり,成長は停滞した。「生活水準を表す」(子供の)身長は,日本の場合1990年代初めに伸びが止まり,韓国の子供たちは日本と同じ水準に達し,2000年代半には高校3年の男子の場合,日本の高3より3cm高くなった。韓国経済はその後も目覚ましく成長を続けたが,子供たちの身長はそこでばったり伸びが止まり,2010年代末には高3男子の場合,0.2-3cm低くなっている。これらの現象を,食料消費における動物蛋白の動きで説明することは難しい。日本を3cm追い越した2000年代半でも,1人当たり動物蛋白の供給は日本より20%近く少なく,それ以降も韓国における動物蛋白の供給は30%前後増え続けたが,平均身長の伸びは,全く停滞している。世帯主年齢階級別『家計調査』から,筆者が導出した世帯員の年齢階級別家計消費の推計によると,韓国の10歳代の子供たちの野菜消費は,1990年代初め頃から急激に減少し始め,2010年代後半には,50-60歳代の中高年層に比べ,1人当たりの野菜消費は10%未満に激減している。韓国における「若者の野菜離れ」である。1970年代に始まった日本における「若者の果物離れ」が,1990年代における子供たちの身長の伸び止まりを招いたと同様,韓国においても「若者の野菜離れ」が,経済成長の最中に学童の更なる身長増進にストップをかけた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ