箱根ジオパークにおける大学生対象のジオエコツアー実践 : 関係構造図の作成とその効果

書誌事項

タイトル別名
  • Conducting a Geo-ecotour for University Students in Hakone Geopark: Creation of a Relationship-Structure Diagram and its Effects
  • ハコネ ジオパーク ニ オケル ダイガクセイ タイショウ ノ ジオエコツアー ジッセン : カンケイ コウゾウズ ノ サクセイ ト ソノ コウカ

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説明

ジオエコツーリズムは,地形,植生,人間生活などの諸要素の関係を地生態学的視点でとらえ,環境教育,環境保全,地域振興に貢献しようとするものである。しかし,地域に広がる多様な要素間の関係は,解説されなければ,ツアー参加者が認識することは難しいと予想される。したがって,ガイドには地域のシステムを構造的に示すインタープリテーションと地域を構成する要素のストーリー化が求められる。筆者は,箱根ジオパークにおいて,地形・地質,植生,気候などの自然と人間の関係を組み込んだジオエコストーリーを設定し,大学生を対象に,自身がガイド(インタープリター)となってジオエコツアーを実施した。本稿ではその実践を報告し,ツアー参加者が箱根をどのように認識したのか,また箱根のジオエコツアーについて,どのような改善が必要であるのか検討する。<br>参加者にはツアーの実施後,アンケート調査への回答とともに,関係構造図の作成を依頼した。関係構造図には,あらかじめ「植生・生き物」,「生活・文化」,「地形・地質」,「気候」の4領域が区分されており,ツアーで認識した要素と要素間の関係をそこに記入してもらった。この関係構造図を分析すると,「地形・地質」が「生活文化」の基盤であり,資源供給の場であること,「植生・生き物」が「生活・文化」に資源を与えること,「気候」と「地形・地質」が「植生・生き物」に影響を与えること,「気候」が人間の「生活・文化」に影響を与えることが参加者に認識されていることが判明する。とりわけ,中央火口丘に関する火山の要素と,ススキ草原,ササ草原などの草原植生が中心的要素としてとらえられている。これらはインタープリターの認識とおおよそ重なっており,インタープリターがジオエコストーリーに込めた意図が,参加者におおむね伝わったと考えられる。また,関係構造図の作成は,参加者がツアーを振り返り,箱根の特徴をよりよく理解できる効果があった。<br>今後の課題として,参加者の理解に個人差があることへの対応や,巨視的スケールの事象との関係づけ,空間的関係の認識構築などが,地理的なジオエコツアーを計画する際に求められる。また,自然環境と人間活動の相互関係のストーリーを構成できるインタープリターの育成も必要である。

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